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映画ノート

パーフェクト・ワールド


1993年(米)監督: クリント・イーストウッド 出演: ケヴィン・コスナー /クリント・イーストウッド /T・J・ローサー /ローラ・ダーン【ストーリー】1963年テキサス。ブッチ(ケヴィン・コスナー)は、アラバマ刑務所から同じ囚人のテリーと脱走した。途中、8歳の少年フィリップ(T・J・ローサー)の家に押し入った2人は少年を人質に逃亡するが、ブッチはフィリップに危害を加えようとしたテリーを射殺する。すぐに厳重な警戒線が張られ、州警察署長のレッド陣頭指揮に当たった。

■about movie
クリント・イーストウッド監督による、犯罪者と幼い少年の心の交流を描いたヒューマン・ドラマ。人気スターケヴィン・コスナーとの顔合わせも話題になりました。

■感想
大好きな映画の一つです。

父親に捨てられた少年と子供の頃に父親からの暴力を受けて育ったブッチ。
少年はブッチに父親の姿を重ね、ブッチは少年に幼い頃の自分をみる。
二人の間に親子のような、友達のような、不思議な絆が生まれていくのです。

映画の中で二人の会話がとてもここちよい。
少年役のT・J・ローサーの愛らしいこと。フィリップは宗教による規制、あるいは両親の不仲などから、子供らしく自分を表現することの出来ない環境に育ったのでしょう。
そんな、不器用で純粋な少年を見事に演じています。


ブッチを追う警察署長役のクリント・イーストウッドもまたブッチに対し
昔に自分がとった処置が本当に良かったことなのか、という呵責の念を背負っていました。
その念はいつしか、子供を心配する父親の気持ちへと変わっていたようにも思います。


ラストのブッチと少年のシーンは何度観ても号泣です。


切ないけれど、決して後味が悪いというわけではなく、
何か、不思議な感動で胸がいっぱいになるのです。

今までで一番多く観た作品かもしれません


★★★★★


ネタバレになるかもしれませんので未見の方はスルーして下さい。

パーフェクトワールド」の意味合いについて。

ラストのブッチの幸せそうな表情から、
彼は、「父親を許し、父のもとへ向かおうと心を開いた自分に満足していた」のではないか。
そう思うようになりました。

そしてこのときブッチの中には「パーフェクトワールド」が広がっていた。
そしてこれは、少年との旅を通じて得たもの・・・。

あえて、そう解釈したいですね。