しまんちゅシネマ

映画ノート

評決

1982年(米) 監督:シドニー・ルメット 出演:ポール・ニューマンシャーロット・ランプリング /ジェームズ・メイソン ジャック・ウォーデン/ミロ・オーシャ【ストーリー】主人公ギャルビンは新聞の死亡欄から裁判になりそうな事件を見つけては、葬儀に紛れ込んで依頼を受けようとするまでに落魄れた毎日を送っていた。そこに医療ミスで植物人間にされた患者の弁護の仕事がやってくる。始めは金になりそうと言うだけで引き受けたが、調査を進める内に再び弁護士魂に火が点り、法廷に立ち上がるのだが……。
■感想
「12人の怒れる男」で知られるシドニー・ルメット監督の法廷ドラマです。

 

主人公のギャルビンを演じるのは渋い白髪で、今も素敵なポール・ニューマン
もとエリート弁護士のギャルビンは、辛い仕事の経験から酒びたりの日々。
新聞の死亡広告を見て、葬儀に紛れ込み、訴訟のときにはよろしくと名刺を置いて帰る落ちぶれかた。
作品の中で「ambulamce chaser」と呼ばれてましたが、これ直訳すれば救急車を追いかける人。
事故の被害者に賠償訴訟を起こすようけしかけて仕事を掴む=人の不幸を仕事に利用する悪徳弁護士のことですって。

 

ギャルビンの落ちぶれ方に愛想を尽かしかけていた旧友ミッチーが持って来た仕事は
出産時の医療ミスで植物人間になってしまった女性の事件。
家族を失い、人生に終わりを告げることを余儀なくされた、その女性を目にし
ギャルビンの中に埋もれていた正義の心に火がつきました。

 

訴訟の相手は大組織、教会をバックにした病院。
権力を利用しあの手この手を使ってくるのです。

 

「医療訴訟」という、お定まりの法廷劇ではあるけれど、
ポール・ニューマンが自らの再生をかけて、大組織に立ち向かう姿が渋い。
おちゃらけたところの殆どない、正々堂々としたドラマに仕上がってます。

 

その中で唯一華を添えるのが謎の女ローラを演じたシャーロット・ランプリング
スイミング・プールあたりからの少々下り坂(失礼w)の彼女しか知りませんでしたが
このランブリンは目に力のある妖艶な女性でした。

 

ある日ギャルビンとベッドを共にするのですが、
ブラウスの前ボタンを外す動作が潔い!これ、ちょっと笑ってしまいました。

 

懸命にひたむきに証人を探し、事件の解明に燃える姿
一方でギャルビンを襲う様々な陰謀、裏切り。。そして葛藤。
これはなかなかの見応えです。

 

ラストシーン。。。なんとも渋い。心に残ってしまう終り方でしたねぇ。

 

アカデミーでは作品賞、主演男優賞他5部門にノミネートされながら
ガンジー」に阻まれ無冠に終ったのは残念ですね。



★★★★☆