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映画ノート

ノーバディーズ・フール

1994年(米)監督・脚本:ロバート・ベントン出演:ポール・ニューマンジェシカ・タンディブルース・ウィリスメラニー・グリフィスジーン・サックスディラン・ウォルシュ/フィリップ・ボスコ/フィリップ・シーモア・ホフマン【ストーリー】冬のニューヨーク州雪景色の田舎町ノース・バス。初老の大工サリーは半年前作業中の事故で足を怪我して以来、建設会社の社長カールを相手に裁判で争っていた。そんな時サリーの息子ピーターが感謝祭を実家で過ごすため家族を連れて帰省した。妻と離婚していたサリーは、ピーターに誘われ、元妻の家を訪れるが、家族のごたごたを目にし、黙ってその場を去る。しかしそのトラックの荷台には孫のウィルが乗り込んでおり…。
■感想
小さな田舎町を舞台に繰り広げられる、やさしい、やさしいお話でした。

 

まもなくこちらでもサンクスギビングが訪れます。感謝祭のこの日、人々は家族とともにテーブルを囲み、
一日を過ごすのです。この物語も、そんなサンクスギビングの団らんを感じる暖かさ。

 

いいですね~、こういうお話は。
もう観始めてすぐにこれは絶対に好きな映画!って思いましたもん。

 

主役サリーを演じたポール・ニューマンはこの作品でオスカーにもノミネートされました。
少年の心をもった、純粋で不器用なサリーをドンピシャに演じています。

 

サリーが息子ピーター(ディラン・ウォルシュ)との久々の再会をきっかけに
親子の絆を取り戻していくのですが、
幼い頃に家を出てしまった父サリーを嫌っているようで本当は父を求めていた息子ピーターが
父とともに過ごしながら、多くのことを学んでいくところも心地いいのです。

 

小さな田舎町の風情もいいですね。
裁判で争う会社社長のカール(ブルース・ウィリス)とだって、トランプ仲間だし、
腕が悪いのは承知で雇っている片足の弁護士とも昔からの親友。

 

サリーに部屋を貸しているかつての恩師にジェシカ・タンディ。この作品が遺作となってしまいましたが、
強い意志をもち、気丈で暖かい、サリーのよき理解者役がピッタリでした。
サリーにお茶を進めては、いらないと断られるのですが、それでもいつもお茶をすすめる彼女の
「だって、お茶を飲みたい気持ちになるかもしれないでしょ。人は変わるものだから」という台詞が心に残ります。

人と人との繋がりには、色々な形があるなぁとしみじみしちゃいますね。
それぞれ切実な問題を抱えてたり、コンプレックスの固まりだったりするんだけど
一番切実かもしれないサリーが一番みんなを暖かい目で見てる。
それぞれのやり取りがおかしくて、優しくて。なんでもないシーンにもウルウルしてしまいます。

 

浮気性な夫カールとその妻(メラニー・グリフィス)のエピソードはほろ苦いものを残しますが、
メラニーの精一杯の気丈さにもホロリ。今まであまり好きな女優じゃなかったんだけどイメージ変わりました。
ちょっとしたサービスショットもお楽しみ(笑)

 

警官役のフィリップ・シーモア・ホフマンも脇役ながらインパクトのある演技。この頃はいくらかスマートです。

 

成長をみせる孫ちゃんも可愛かったぁ。



今の時期、ぜひとも観て欲しいと思うとっても暖かい映画。お薦めです!




★★★★*