しまんちゅシネマ

映画ノート

暴力脱獄

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1967年(米)監督:スチュアート・ローゼンバーグ出演:ポール・ニューマンジョージ・ケネディ/ルー・アントニオ/ストローザー・マーティンJ・D・キャノン/ジョー・ヴァン・フリート/ラルフ・ウェイト/ルーク・アスキュー【ストーリー】街のパーキングメーターを壊して収監されたルーク。ひと癖もふた癖もある囚人たちの中、彼は不思議な魅力で次第に人気者となっていく。そして彼は残忍な看守を嘲笑うかのように、繰り返し脱獄を図るのだったが……。
■感想
冒頭、市のパーキングメーターを金属ノコで次々に壊していくポール・ニューマン
捕まった時の酔っぱらい顔の無邪気な笑いが印象的(笑)

 

我慢すれば2年の刑ですむところ、厳しい管理で囚人を押さえつける体制に抗い続け、
何度も脱獄を繰り返した、ある男の物語です。

 

これってアメリカン・ニューシネマに入るのかな?

 

威圧的な看守たちを常に鼻で笑い、自分流を通し続ける主人公ルーク。
あることをきっかけに、脱獄を繰り返すようになるのですが、彼は見事に脱獄を果たすことが出来るのでしょうか。

 

反骨精神に溢れる主人公ルークを演じたポール・ニューマンが、とびきりカッコいい作品です。
決してギラギラの不良という感じではなく、むしろクール。時々見せる屈託のない笑顔は少年のようでもあるのです。

 

綿密に計画して脱獄した「ショーシャンク~」のアンディとは、まったく違うタイプのルークは
本能の赴くままに、ただひたすら脱獄するのですよねぇ。馬鹿がつくくらいひたむきに。

 

いつしかルークに憧れの念を抱くようになる刑務所の囚人たちは、ルークの脱獄に一喜一憂。
自分たちに出来ないことに挑戦し続けるルークは、大きな希望であったわけですね。
それだけに脱獄のあと、連れ戻され殴られ、命乞いをするルークに向ける眼差しには落胆の色が隠せません。
自分勝手な囚人たちに歯がゆいものを感じるけれど、
やはり諦めるしかないんだと再認識しなければいけない彼らの気持ちも分からないではない。
抗うものに向ける一般的な思いでもあるでしょうね。

 

ルークの反骨精神の裏にあるものが何であるかは説明されていません。
戦争で人の命を奪って来たことや、家族的な背景も関係しているのかもしれません。

 

刑務所内の社会の描き方も興味深く、ルークが次第に人気者をなっていく様子は楽しく観ることが出来ます。

 

どこまでも自由を求め続けるルークのひたむきさに、ただ衝撃と感動を覚え、
観終わった時に切ないながらも爽やかさを感じる作品でした。

 

中流れる、囚人が歌う曲、母の死を知らされたあとに、ニューンマン自身がバンジョーをかきならし歌う歌も心に残りました。

 

ポール・ニューマンって何をやってもカッコいい!!



★★★★☆