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映画ノート

ワンス・アラウンド


1990年(米)監督:ラッセ・ハルストレム出演:リチャード・ドレイファスホリー・ハンターダニー・アイエロ/ローラ・サン・ジャコモロクサーヌ・ハート/ジーナ・ローランズ【ストーリー】妹の結婚式の夜に恋人にふられたレナータ(ハンター)。失意のどん底にあった彼女は心機一転を図るべく、とあるコンドミニアムを販売するセールス・ウーマンの仕事に就こうと美しいカリブにやってきた。そこで彼女はやり手の敏腕セールスマン、サム(ドレイファス)と出会い、二人はたちまち恋に落ちる。しかしサムはその強引さとがさつな行動からレナータの両親(アイエロ&ローランズ)に気に入って貰えず彼女はその間で悩むのだったが……。
■感想

黒く塗りつぶせ!ラッセ監督版 トップバッターです。


これは日本未公開ですが、ラッセ監督のハリウッドデビュー作になるようです。
行き遅れのレナータ(ホリー・ハンター)がようやく運命の人サム(リチャード・ドレイファス)に出会い恋に落ちます。

レナータにとっては最高の恋人サムでしたが、コンドミニアムトップセールスマンでもあるサムはとにかくがさつ。
押しが強く、かなりKY(空気が読めない)なタイプなんですね~。

レナータの両親、父ダニー・アイエロと母ジーナ・ローランズは娘が家に連れて来たボーイフレンドに退き気味。
だって白髪におひげ。ごりごりの押しの強さのサムはレナータ一家とはかなり異色の存在だったから。

それでも両親は、レナータが幸せならと、娘を信じ、サムとの結婚も認めるのですが、
次第に色んな摩擦が生じて来る‥。

両親と夫サムとの間で板挟みになるレナータ。一家に幸せは訪れるのでしょうかというお話です。


この作品とにかくキャストがいいでしょ。
ホリー・ハンターもいいですが、なんと言ってもこの作品でぴか一に光ってるのは父親を演じるダニー・アイエロです。

家族を心から愛し、一家の幸せを望む父親を演じるアイエロおじさんの大らかで温かいこと。
妻を愛する様子もとっても素敵。

娘たちの結婚式や、家族のメモリアルデイ(法事みたいなものかな)でアイエロおじさんが歌う歌がまた素晴らしい。

劇中何度も登場する曲が「Fly me to the moon」なのですが、アイエロの甘い声がこの曲にピッタリ嵌っていて
感動ものです。ジーナ・ローランドも強く優しい母を好演してました。

親ってこんなにも娘を愛してるんだなぁと感じ、両親、家族への感謝の気持ちを思いださせてくれる作品でした。
家にはそれぞれに歴史があり、大切にしてきたものがある。
守ることも大事だけど受け入れることも大事だなぁとも思わせてくれます。

「Once around」‥もう一度自分の周りを見回してみると、今まで気付かなかった大切なことに気付くかも。。

切ないけれど温かい、ラッセ監督らしさの詰まった感動作でした。






★★★★☆