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映画ノート

永遠のこどもたち


2007年(スペイン/メキシコ)監督:J・A・バヨナ     製作総指揮:ギレルモ・デル・トロ出演:ベレン・ルエダ/フェルナンド・カヨ/ロジェール・プリンセプ/ジェラルディン・チャップリンマベル・リベラピラール/モンセラート・カルーヤ/アンドレス・ヘルトルディクス/エドガール・ビバル【ストーリー】海辺に建つ古い孤児院で他の孤児たちと楽しく暮らしていた少女ラウラ。やがて彼女は里親に引き取られ、孤児院を後にする。30年後、医師である夫カルロスと7歳の息子シモンと共に、再びこの地に戻ってきたラウラ。彼女は閉鎖されていた孤児院を買取り、障害を持つ子どもたちのための施設として再建するため、開園準備を進めていた。そんな中、シモンがイマジナリー・フレンドを相手に楽しげに遊ぶようになり、かすかな不安を感じ始める。そして、施設の開園を祝うパーティが催された日、シモンが忽然と姿を消してしまう。警察も加わっての懸命の捜索も実を結ばず、その一方でオカルトめいた言動をエスカレートさせるラウラは次第に周囲から孤立していく。それでも必死にシモンの行方を追う中で、いつしか孤児院に秘められた恐ろしい秘密へと近づいていくラウラだったが…。

-だるまさんが転んだ- が恐い^^;『永遠のこどもたち

■感想
パンズ・ラビリンス』『デビルズ・バクボーン』のギレルモ・デル・トロが製作総指揮を勤めるスペイン製ホラーということで楽しみに観ました。

監督はこれが長編デビューとなる映像畑の方らしいのですが、デル・トロの世界観を受け継いだ、愛と哀しみの観応えのあるホラーに仕上っています。

幼少時代を孤児院で過ごしたラウラは、30年後、夫と息子のシモンを連れ立って海辺に建つ孤児院にやって来ます。
すでに閉鎖された孤児院を、障害児のための施設として再建するため、広大な建物を買い取り、一家で移り住むラウラ。
寂しさからか空想の友だちの話しをするシモンに不安を感じる中、そのシモンが施設開園のパーティ中、突如姿を消してしまうのでした。
必死に捜索をするラウラは、シモンを探し出すことができるのでしょうか。。


これ結構本格的なホラーなんですが、過激に恐い描写があるわけではありません。
それでもゾゾッとさせられることたびたび。

遊びに出かけた灯台下の洞窟内で、見えない友だちに話しかけるシモンが、「新しい友だちがちゃんと家に遊びにこれるように」と帰りの道すがらに貝殻を落としていく、、なんてシーン。
おぞましい映像無しに、うわーー、やめて~!と観客を恐怖に陥れるところも巧いんですよね~。

次にどんなシーンが現れるか予想がついてしまうんだけど恐い。予想ができるから恐いと思うシーンも。
子供っていうのがまた恐いです、、よね。




デル・トロ監督の前2作は戦争を背景に、子供たちの哀しみを描いたものでした。
本作でも、土台となるのは子供たちの哀しみ、そして魂の癒し、そこに本作では子供を失う親の哀しみが描かれます。

子供たちの魂が癒される終盤のシーンでは恐さよりもむしろ穏やかな気持ちにさえなって、思わず涙があふれるのですが、
そこからさらに画面が変化し、ラストは無情観に襲われるというのもデル・トロ的でした。

スペインのアカデミー賞ともいわれるゴヤ賞でスペイン映画史上最高の14部門にノミネートを果たし、脚本賞など7部門で受賞。
アカデミー賞外国語映画賞のスペイン代表にもなった作品です。



12/20公開  



★★★★☆