しまんちゅシネマ

映画ノート

許されざる者


1992年(米)監督:クリント・イーストウッド出演:クリント・イーストウッドジーン・ハックマンモーガン・フリーマンリチャード・ハリス/   ジェームズ・ウールヴェットソウル・ルビネックフランシス・フィッシャーアンナ・トムソン/フィリップ・ヘイズ【ストーリー】荒事からは足を洗っていたウィリアム・マニーの元へ若いガンマンが訪れる。娼婦に傷を負わせ賞金をかけられた無法者を追うためだ。マニーのかつての相棒ネッドを加えた3人は追跡行に出かけるが、その頃、町の実力者の保安官ビルは疎ましい賞金稼ぎたちを袋叩きにしているところだった。
■感想
イーストウッド祭り、第一弾はやはり監督として初めてオスカーを獲得したこの作品から!

残念ながらイーストウッドの西部劇を観てない私は、彼の生粋のカウボーイ姿を見たことがなく、
なんとこの老いぼれカウボーイ姿が初となりましたw

イースウッドが演じるのは、その昔、酒にまかせて無法を働いた、伝説の悪党マニー。
3年前に妻を亡くし、残された子供2人と共に、静かな暮らしをするマニーの元に懸賞金稼ぎの若いガンマンがやってくる。。

自分の過去を悔い、悪事から足を洗っていたマニーも、子供たちの将来のためにお金は欲しい。
しかも懸賞金をかけられた無法者は、娼婦の顔を切り付け傷を負わせたカウボーイと聞き、引き受けることにするマニー。
しかし、町では保安官ビルが懸賞金稼ぎたちを暴力で取り締まっていた。
旧友ネッド(モーガン・フリーマン)を加えたマニーたち一行の運命やいかに。

イーストウッド演じるマニーは魅力的でした。
静かな中に、過去の罪を深く悔う姿は痛々しく、古い仲間を愛し、正義に燃える姿は雄々しく渋い。
でも正義を果たそうとすれば、そこに新たな罪が生じるんですよね。

死はその人間から全てのものを奪ってまう。
そのことを知っているからこその葛藤、悲哀がしみじみと描かれていました。

ところで、タイトルの「許されざる者」とは誰のことだろう。

娼婦を斬りつけたカウボーイ、暴力で町を仕切る保安官(ジーン・ハックマン)、どっちも確かに悪い。
でもきっと、イーストウッドは暴力そのものを許されざるものとしたんでしょうね。
勿論マニー自身も含め。。

音楽も夕陽をバックにした映像も本当に美しく、芸術的な作品だとさえ思ってしまったんだけど、
イーストウッド流の笑いどころもおさえていうるところがいいですね。

今回私が大笑いしたのは、若いガンマンがマニーのもとにやって来て懸賞金稼ぎの話しをするシーン。

カウボーイが娼婦を斬りつける話しが、「顔を斬り、指を切り落とし、歯まで切ったんだ」とエラく大袈裟になってるw
で、その「歯」と聞いてマニーが「ジーサス」と苦い顔をして引き受けることを決めるんだけど、、
そのあと、ネッド(フリーマン)を誘いにいって説明をするときには
「顔を斬り、指を切り落として、乳首を切り落とした」になってたんですね。
フリーマンはそこで「何と‥」とマニーと同じ渋い顔に(笑)
南部訛りの若者ガンマンが歯(teeth)と言ったのを、マニーは乳首(tits)と聞き違えたというのがここで分るわけで。
私は爆笑でしたが、日本語訳で果たしてこの間違いの可笑しさが伝わったかなぁ(*>∀<*)

フリーマンも腕の衰えを感じる老カウボーイを切なく優しく演じ、流石に味わい深かったです。

ハックマンの憎らしさもこれまた流石。

アカデミー作品賞、監督賞、助演男優賞ジーン・ハックマン)受賞



★★★★*