しまんちゅシネマ

映画ノート

渚にて


関連映画祭り 15本目!

『ジョニーは戦場へ行った』が第1次世界大戦、昨日の『セントアンナの奇跡』が第二次世界大戦
とくれば次は第三次世界大戦!! ってことで今日は『渚にて』でっす!
1959年(アメリカ)監督:スタンリー・クレイマー出演:グレゴリー・ペックエヴァ・ガードナーフレッド・アステアアンソニー・パーキンス/ドナ・アンダーソン
この映画が作られた頃、アメリカはビキニ環礁で原爆実験を繰り返していました。
それに巻き込まれての第五福竜丸被爆は有名ですね。

第3次世界大戦は、実際にはまだ起こっていない訳ですが、
もしも起きるとしたら核戦争。誰もがそんな恐怖を現実的に感じていたことでしょう。

それを映画にしちゃったのが、この『渚にて』なんですね。
といっても、映画の中では兵士も、きのこ雲も描かれません。

時は1964年。
核戦争勃発により、世界全土は核攻撃により放射能汚染が広がり、北半球はすでに全滅‥
僅かに残った南半球の一部地域に人々が暮らすだけになっていた。
こんな設定から始まるんです。

アメリ原子力潜水艦の艦長タワーズに『ローマの休日』のグレゴリー・ペック
母国に寄港できず、メルボルンに入港したタワーズらは、そこでひと時を過ごしますが
南半球のその地にもじわりじわと核汚染が広がっているんですね。



残された時間がわずかに10数日だとしたら、、
迫り来る人類の滅亡を前になす術のない人間の姿を静かに描き出す本作は
どんなに過激な戦争映画よりも悲壮感が漂い、これは辛い。


祖国で失った妻や子供のことを思い、葛藤しながらも、メルボルンで出会った美しい女性に惹かれていくタワーズ
しかし彼らに未来があるはずもなく。。
限りない未来を感じさせるような美しい音楽との対比が余計に切ない~。

まだ赤ちゃんの子供をもつオーストラリア軍の若き大尉にアンソニー・パーキンス
老練な科学者にフレッド・アステア
迫り来る死への恐怖、家族への思い、科学者としての無念さ
それぞれの思いや、残された過ごし方も身につまされるものがあります。

人間は、自分たちの手でなぜ人類を破滅に導くのか‥。
やがて訪れる最後の日を、静かに受け止める人びとの様子、刹那に燃え上がる恋の美しさにも涙、、なのでした。



★★★★*