しまんちゅシネマ

映画ノート

私の中のあなた


2009年(米)監督:ニック・カサヴェテス出演:キャメロン・ディアスアビゲイル・ブレスリンアレック・ボールドウィンジェイソン・パトリック   ソフィア・ヴァジリーヴァ/ジョーン・キューザック/トーマス・デッカー/ヘザー・ウォールクィスト
■感想
ジョディ・ピコーのベストセラー小説『わたしのなかのあなた』を映画化した家族の物語。
監督は『君に読む物語』のニック・カサヴェテスです。

この監督さんは涙腺を刺激してくれますね~。

キャメロン・ディアス演じるのは家族のお母さんサラ。
娘の白血病が発覚した際、骨髄移植が必要だが、家族の誰もドナーとなりえない。
途方に暮れる夫婦に医師から提案されるのが、遺伝子を操作し、完全に白血球の型の一致した子供を作ること。
そうして生まれてきたのがアナ(アビゲイル・ブレスデン)でした。

映画はアナが自らアレック・ボールドウィン演じる弁護士の事務所を訪れるところから始まります。
なんと11歳のアナは姉への腎臓の提供を拒み、両親を訴えるという驚きの行動に出たのです。


遺伝子操作されドナーとして生まれて来た子供の尊厳を争う裁判‥
医療の進んだ今だからこその社会的な問題を扱った作品という面を持ちながら
病気の子供を持った家族の闘いと絆を描きあげた作品でした。

病気の子供を助けたい、その思いが生み出したドナーとしての妹アナ。
母を演じたキャメロンの強すぎるまでの思いが
アナの身体だけでなく、心まで傷つけていたことに気付くあたりは痛々しいです。
それでも娘に最善を尽くす。それこそを心のよりどころにするしか生き方が分らないんですね。
その気持ちは理解できました。

おそらくは夫の家族が裕福であったために可能だったんだろうと思われる、最先端の医療により
通常の命以上に生きることになった娘自身の思い、
同じ兄妹でありながら、アナばかりに痛い思いをさせ自分は何も出来ない兄の思い
家族みんなの気持ちを静かに見つめる夫の思い、家族のそれぞれの心情がとても丁寧に描かれていました。

アナの依頼を受け裁判を引き受ける弁護士、裁判官に至るまで
しっかりと「命」の重みを考えることの出来るバックグラウンドを与えている点も感心。

遺伝子操作の是非、人間らしく生きることとは、など色々考えさせられましたが
何よりも家族の愛情に涙した作品でした。


アビゲイルちゃんのまっすぐな瞳は美しいですね。いい女優さんになりそうです。


そもそもダコちゃん姉妹がケイトとアナの姉妹を演じるはずだったそうですが
ダコちゃんが頭を剃ることを拒否し、なしになったとか。。
髪を剃り、眉も剃り落し、ケイトの痛みを体現したソフィア・ヴァジリーヴァには拍手。

★★★★☆