しまんちゅシネマ

映画ノート

ICHI


2008年(日本)監督:曽利文彦出演:綾瀬はるか大沢たかお中村獅童窪塚洋介利重剛佐田真由美杉本哲太横山めぐみ渡辺えり
■感想
帰国中に劇場予告で観て、ずっと観たいと思ってた『ICHI」ようやく観ました。

時代劇ってあまり興味もないのだけど勝新の『座頭市』は小さい時に親と一緒に観た記憶があるんですよね(笑)
よくよく考えたら私の映画館デビューは『座頭市』だったかもしれない(;゚∀゚)

TVでもよく放映されているところを観ると、こちらでも有名なのではないかな。

前に北野武の『座頭市』をTVでやってて観かけたことがあるのだけど、日本語が英語に吹き替えられてて
しかもわざわざアクセントの強いアジア系の役者を充ててるので、どうにもアホっぽく
観る気がせずに途中リタイアしてしまいました。

今回はしっかり日本語で観れたので満足。

座頭市』を初めて女性が演じるということで話題になりましたね。
主演は綾瀬はるか。透明感があって優しそうで、とても『座頭市』タイプではないですが
彼女が演じることによって、市が人と関わらず、無機質に生きて来たその理由や
投げやりだった市が、人の暖かさや愛を知ることになる過程が描かれているのがいいですね。

腕が立つのに、自分に関わりのないことには,あえて手を出さない市と
あるトラウマから剣を抜くことさえ出来ない、へたれな十馬(大沢たかお)を対照的に描きつつ
二人が交流することで互いのトラウマを乗り越え、成長する姿を描くというのも好感が持てました。

監督さんは『ピンポン』などを手がけた映像畑の出身らしいですね。
スローモーションを交えた変則的なスピードを駆使した殺陣シーンは、勝新ファンには不評でしょうけどw
ポッと出の可愛いはるかちゃんが、それなりに強くかっこ良く見えてる訳だから良し。
ほとばしる血が布切れのように見える映像もちょっと面白かったです。

個人的には、市の父親との関係はクリアに描かれておらず、私には分かりにくかった
まぁ、ここにはあまり力を入れずに観て良いということでしょうか。

へたれな十馬がどうなるかというのは、予測出来る範囲でしたが、子役をうまく使って
市の心の変化を見やすくしたのもよし。
綾瀬はるかのパフォーマンスも良かったですが、十馬という存在なしにはあくまでか弱い女であった点は、
これまた勝新ファンにはどう映ったかなぁと心配しました。



★★★*☆