ヤギと男と男と壁と
イギリスのガーディアン紙のコラムニスト、ジョン・ロンスンの著書「実録・アメリカ超能力部隊」の映画化。
原題は『山羊を見つめる男たち』
山羊を見つめて何をするのかというと、念力で心臓を止めてしまおうというもの
驚くのはこれ米軍が実際に実行しようとした特殊部隊のためのプロジェクトで
「武器を使わずに敵を倒す」ことを目的とした超能力養成プロジェクトのお話なんですね。
プロジェクトで潜在能力を開花させた部隊の第一人者にジョージ・クルーニー
妻に捨てられ傷心のままイラク戦争の実態を取材しようと現地に赴くイギリスの新聞社のボブ(ユアン・マクレガー)は、取材中噂に聞いていたかつての米軍特殊部隊の超能力軍人リン・キャサディ(クルーニー)に出会い、
極秘ミッションの途中と言うリンに同行取材することを決意。
しかしリンの本当の目的は他にあり、イラク入りした二人はトラブルに巻き込まれていく・・・
とにかく特殊能力養成の様子がオフビートで笑えます。
こんなこと米軍は本当にやってたのか?ってのがまず一番の驚きなんだけど、やってたらしいですね(笑)
冒頭なんて、いかめしい面構えの軍人が「隣の部屋にいく」と言って、意を決したように席を立ったかと思うと
クルーニーが見つめるだけで山羊を倒したり、その超能力を発揮するシーンは笑えるし
『マイレージ、マイライフ』とがらりと違う風貌も、ぎらぎらした演技も見もの。
後半は消滅したはずの特殊部隊のその後の姿が描かれ、
ユアンにもその素質が備わってるとするところがまた可笑しい。
冒頭のおかっぱの女性のシルエットがダースベーダーに見えたり、ダークサイドという台詞が出たり
羊たちの沈黙ならぬ山羊の沈黙って台詞が出たりと、映画好きには可笑しさ満載なのだけど
そのあまりにとっぴなお話に、どこまで着いていっていいものか悩んでしまうのも確か(笑)
ユアンのナレーションで説明される構成は眠りを誘うし、
他の監督が撮ったらもっと巧くつなげたのではないかなぁと、ちょっと残念。
ジェフもとんでもヒッピーな姿からトーンを落とした後半の姿まで見せてくれて楽しい。
★★★*☆