しまんちゅシネマ

映画ノート

第三の男


1949年(イギリス)

■感想
今頃観たんかい!第2弾^^;
この際シリーズ化して週に一回は入れていこうと思います。
 
キャロル・リード監督のフィルム・ノワーレ
舞台は第2次世界大戦直後、米英仏ソの4カ国に分割統治されるオーストリアのウィーンが舞台。
 
友人を頼りにやってきたアメリカ人の売れない小説家ホリー・マーティンは
友人ハリーの家に着くや、彼が交通事故で死んだばかりだと告げられる。
葬式で出会った英少佐キャロウェイからハリーは闇取引で面倒を起こす悪人と聞かされ
信じられないマーティン。しかしハリーの死には不審な点が多く、マーティンは謎の解明に走り始めた。

マーティンにを演じるジョセフ・コットンが小説家という設定が巧く作品に生きてます。
彼の好奇心、洞察力が思わぬ謎を解明することになるのだけど、そこには
第2次世界大戦の傷跡が深く刻まれてるんですよね。
おそらくはこんな時代でなければ犯罪に手を染めることなどなかったかもしれないハリー
パスポートを偽造し、不正の中生きなければならないハリーの恋人アンナ(アリダ・ヴァリ
事件に迫るうちにアンナに惹かれていくマーティンの暮らすアメリカも大変な時代だったでしょう。
 
中盤、死んだはずのハリーを演じるオーソン・ウェルズが暗闇から姿を現すシーンは
光と影を巧みに使った映像と、驚きとで、ゾワワと鳥肌もの。猫も可愛いしねw
地下下水道の追跡シーンで、ハリーが四方から追い詰められ、行き場をなくし立ち尽くすところも
ドキドキと切なさが交錯しました。
 
なんといっても一番に印象に残るのはアントン・カラスのチターの演奏の主題歌
冒頭から終始一貫っこの曲だけなのに、時々でアレンジを変えているので
時にコミカルに時にサスペンスフルに、そしてラストシーンでは哀愁を帯びてくるのですよね。
 
うん、ラストの哀愁がたまりません!! 
冒頭のお葬式のシーンを再現する構成も巧みだけど
長まわしで見せるこのラストシーンの哀愁に「参った!」とうなってしまいましたね。
流石の一本でございました。