しまんちゅシネマ

映画ノート

惑星ソラリス


1972年(ソ連
監督:アンドレイ・タルコフスキー
出演:ナターリヤ・ボンダルチュク/ドナタス・バニオニス/ユーリ・ヤルヴェット/ニコライ・グリニコ
 
◆感想
カンヌ特集2本目!
今日は1972年、第25回時の審査員特別グランプリに輝いたタルコフスキーの『惑星ソラリス』。
タルコフスキーでした。
ジョージ・クルーニー版リメイク作『ソラリス』は例によってしっかり観てなかったようで
ゾンビものを観たような、なんとなく狐につままれた気分だったのよね。
ラストもどうなったか忘れちゃったし^^;
 
ストーリーの概要はプラズマの海に囲まれた未知の惑星ソラリスの軌道上に浮かぶ
宇宙ステーションで異常事態が発生し、調査のために心理学者クリスが派遣されることになるというもの。
 
到着すると、宇宙ステーションは荒れ果て、クルー3人のうち一人は自ら命を絶っており
残った2人は「ここで我々以外の人物を見ても気にするな」と。
間もなくして、クリスの目の前に現れたのは、10年前に自殺した妻・・・そっくりの幻影(?)
なんとソラリスを取り巻く海の有機プラズマが、人の意識を取り込みそれを具現化
「ゲスト」としてクルーに送り届けるという、なんとも不思議な現象が起こっていたのだ・・・

ひょー、面白かったな、これ。
惑星ソラリスに宇宙人でも仕込んでおくなら、地球侵略を狙うありがちなお話になるのだろうけど
そういうんじゃないんだね。
宇宙空間の話でありながら、正真正銘これは人間の内側に迫るお話
自分の意識の具現化である妻に再会し、最初は恐れを感じるクリスも、
自我を持ち始めた妻を愛すことになるんだよねぇ。。
いや、愛というよりもノスタルジーなのかな。
彼の長い間の心の痛みや孤独がひしひしと伝わって、じわじわ切ないんです。
 
ラスト、映画のはじめをそのままなぞるような揺れる水草
家が見え始め、あぁ家に帰り着いたんだなぁと思ったところで、犬が彼を迎え・・
あれ、犬?と思っている間に家の中を覗くクリスが見たものに驚き。。
 
父親とはおそらくは母親に関するところで、なにか確執があったんだろうけど
でもその父と分かりあいたいと思う気持ちもあったんでしょうね。
ラストは衝撃的ながら、遠く引いていくそのシーンに、クリスの郷愁と父への思いを感じ泣けました。
 
3時間近い作品で、前半はそのシーンもう少し短くしてもいいんじゃね?なんて思いながら観てたんだけど
中盤からはすっかり引き込まれたし、あの長さも彼のノスタルジーを想起させるという点では
必要だったんだなぁと思ったり。
 
タルコフスキー作品他にも観たくなりました。
出た~、思いっきり今更?(笑)