しまんちゅシネマ

映画ノート

無防備都市


1945年(イタリア)
監督:ロベルト・ロッセリーニ
出演:アルド・ファブリッツィ/アンナ・マニャーニ/マルチェロ・パリエーロ/マリア・ミーキ
■感想
カンヌ特集 3本目
第一回カンヌグランプリ作品ですが、この年パルムドールは『逢びき』『失われた週末』他10本が選ばれ、
これはそのうちの一本になります。
 
イタリアン・ネオリアリズムの巨匠 ロベルト・ロッセリーニの代表作として知られる本作は
ドイツ軍進駐下のローマで、映画人でありながら銃を持ち、
命がけの抵抗運動に参加したロッセリーニの実体験を元にした作品で
抵抗運動に対するドイツ軍とゲシュタポの情け容赦ない非道を、リアリズムで描き出した傑作とされています。

映画に登場する抵抗運動のリーダーがかくまってもらう印刷工の戦争未亡人の婚約者のエピソードは
イタリア共産党の機関紙に掲載されていたドイツ軍に射殺された妊婦のニュースから取られたもの
このシーンは衝撃的でした
 

深い印象を残すドン・ピエトロ神父も、パルチザンのために贋の身分証明書を作っていた実在の司祭と
レジスタンスに荷担したためにドイツ軍に処刑された神父を組み合わせたキャラクターらしいですが
どんな拷問を受けようと、組織のことを白状せずに死んでいく主人公と同様
固い信念を持って抵抗し続ける神父を演じていました。
ラストシーン、柵越しに処刑の様子を見守る子供たちの口笛が悲しくてやるせないんですよね。
 
共同脚本には当時24歳のフェデリコ・フェリーニが名を連ねています。
この映画が撮られた頃にはすでにローマは開放されているのですが
まだこれらの出来事が昨日のことのように感じられた時代だったでしょうね。
それだけに緊張感と、無念さに溢れる作品でした。