しまんちゅシネマ

映画ノート

汚れなき悪戯


1955年(スペイン)
監督:ラディスラオ・ヴァホダ
出演:パブリート・カルヴォ/ラファエル・リベリュス/アントニオ・ビコ/アドリアーノ・ドミンゲス
  
■感想
カンヌ特集 6本目
今日は第8回カンヌ映画祭特別子役表彰を受けたスペインの名作『汚れなき悪戯』を。
カンヌって、臨機応変に色んな賞が出てきますね。
 
お話はスペインの聖マルセリーノ祭の日、病気に伏せた少女のために一人の僧侶が
マルセリーノ祭にまつわる、ある物語を話してきかけるというスタイルで始まります。
 
それは美しく悲しい奇跡の物語
タイトルのマルセリーノというのは、その物語に登場する男の子
19世紀、ある年のマルセリーノ祭の朝、修道院の門前に捨てられた生後まもない赤ん坊です。
両親を探すも既に死んでおり、僧侶たちはマルセリーノと名づけた赤ん坊を修道院で育てることに。

中流れる曲が懐かしい。
あれれ、歌詞も全部覚えてる。
そう、確か「マルセリーノの歌」というタイトルで音楽の授業で習ったはず。
この映画の主題歌だったんですね~。
 
何故か泣いてばかりの赤ん坊を、12人の僧侶がオロオロしながらも愛情たっぷりに育てる様子に
思わず頬が緩みます。

映画はその子育ての様子を一箇所のみミュージカル風に描いていて、ここであの歌が使われているんですが
それがとても可愛らしいです。
でも、この曲を初めて聴いたとき、可愛らしい歌詞なのに、なぜこんなに物悲しい曲調なんだろうと
ふと思ったことを記憶しています。
 
映画を観てようやくその意味が分かりました。
 
マルセリーノには12人の親がいるけれど、お母さんがいない
彼は想像の友達を作って一人遊びをするようになります。
そんなマルセリーノにある奇跡が起こる、ラストシーンには涙。
 
マルセリーノを演じたパブリート・カルヴォ少年の無垢で健気な演技が胸を打ちます。
少年を愛し慈しむ僧侶たちの深い愛と、母を求める小さな魂に心を揺すぶられる名作でした。