しまんちゅシネマ

映画ノート

リスボン特急

 
1972年(フランス)
監督:ジャン=ピエール・メルヴィル
出演:アラン・ドロンカトリーヌ・ドヌーヴ/リチャード・クレンナ/リカルド・クッチョーラ/マイケル・コンラッドジャン・ドザイー
プチ・ドロン祭り 5本目
■感想
さて、特集最後は『サムライ』のジャン=ピエール・メルヴィル監督の遺作となった
クライムサスペンスです。
 
ドロン様が演じるのはパリ市警の警部エドワード
朝も早くにパリの街を車で走らせ犯罪を取り仕切る、ストレスの多い日々

いきつけの酒場でピアノを奏でることは、エドワードにとって癒しの時間でもある様子。
酒場を経営するシモン(リチャード・クレンナ)との間に言葉は要らない。
なんとなく通じあう二人なのです。
 
さて、そんなエドワードに新しく飛び込んできた事件は
郊外で起きた銀行強盗と、密告者から入ってきたリスボン特急を使っての麻薬運びの情報
実はその両方に絡んでくるのが、シモンの一味で、
ドロン様の捜査は、シモンの逮捕へと向かうことになるんですねぇ。
 
この二つの犯罪シーンは映画の見所でもありまして、
特に運び屋の麻薬を、シモン一味が横取りするシーンが面白い。
走行中の特急列車にヘリコプターから飛び移って犯行に及ぶわけだけど
20分の制限時間でやり遂げる様子を、リアルタイム進行で見せてるんですよね。
もう少し、タイムリミットを観客にも意識させる演出があってもよかった気がするけど
バリ、アクションスターというのでもないクレンナがやってるのが、逆に緊張感をそそられました。
 
冒頭 「警官が犯罪者に対し持つ感情は二つしかない 疑いとあざけりだ」 
なんていう言葉が引用され、劇中ドロン様の台詞としても出てきます。
でもね、本当は人として、色んな感情を抱えている
それでも警察は、それを押し殺し、非情に犯人と対峙しなければならないんだよね。
 
サムライ』を思い出す、ラストシーン
ドロン様に漂う哀愁がたまりません。
そんな気持ちを察してか、ガムを差し出す相棒、鳴り続ける電話
うーん、いい味出してます。
 
フィルムノワールの旗手といわれるヴィル監督らしい作品でしたね。
ドロン様とカトリーヌ・ドヌーヴの美×美の競演も目の保養。
でもこの作品ではシモンを演じたリチャード・クレンナが渋かった!