しまんちゅシネマ

映画ノート

血のバケツ


Cinema de しりとり 1回目 【ち】

お約束どおり「」から始まる映画ですね。
皆さんにコメントいただいて、「あ、それがあったね!」みたいなのが多かったんですが
またの機会に取り上げさせてもらいますね。
今回は、miskaさんのご指摘のとうり、まず「」をイメージしました(笑)
 
先日の『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』に続き、またまたロジャー・コーマン
彫刻家を夢みる青年の顛末を描くサスペンスブラックコメディ。日本未公開作品です。

 
血のバケツ(1959)アメリ
監督:ロジャー・コーマン
出演:ディック・ミラー/バルボーラ・モリス/アントニー・カーボーン/エド・ネルソン/ジョン・シェイナー/バート・コンヴィ/ブルーノ・ヴェソタ 
 【ストーリー】
芸術家が集うカフェで給仕の仕事をしているウォルターの夢は、彫刻家として有名になる事だった。
ある日、彼はアパートの大家が飼っている猫を誤って殺してしまい…。 
 
 
■感想
芸術家の集まるカフェで、バカにされながらも、芸術への夢を持ち続けていた主人公ウォルターが
誤って殺してしまった猫を、苦し紛れに「作品」にしてしまう。
その「リアリティ」を絶賛され、あれよという間に芸術家気分
でも、次なる作品が出来なければみんなに忘れ去られてしまう・・
その不安は彼を狂気へと誘うんですね。

少し頭の弱そうな青年が、偶然から殺人を繰り返す・・というのは
『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』に通じるところだけど
翌年製作の『リトル~』が、ゆるいブラック・コメディな仕上がりだったのに対し、
こちらは十分サスペンスフルです。
本作も、そのきっかけのブラックさに「えーー?」と驚き、その後笑っちゃうんだけど
芸術家でい続けたい主人公の切実さと、狂気がエスカレートしていく様子が
緊迫感をもたらし、もはやコメディの域ではないのね。

 
ウォルターを演じるディック・ミラーは『リトル~』で花を食べる花屋の常連客でしたね。
さえなかったウォルターが別人のような芸術家ルックで、カフェにやってくる姿には笑いますw
そんな彼だから、もうバズボーイには戻れない。
実力以上の評価を得てしまったえせ芸術家の愚かさをうまく演じていました。
ウォルターの顛末も納得。
66分というコンパクトさですが、うまくまとめてますよね。さすが。
これは面白かったです。