しまんちゅシネマ

映画ノート

黒い雨


cinema de しりとり 27回目 【く】

さて、またしりとりいきます。
少し開きましたが、今日は『ウィズネイルと僕』から繋がって、「く」で始まる映画
広島に投下された原爆による“黒い雨”を浴びてしまった若い女性の人生を軸に、
彼女を見守る夫婦や原爆後遺症に悩まされる人々の姿を静かに綴る『黒い雨』。
監督は今村昌平。先日亡くなったスーちゃんが、20歳のヒロイン矢須子を演じています。
黒い雨 (1989) 日本
監督:今村昌平
出演:田中好子北村和夫市原悦子沢たまき三木のり平小沢昭一
 
■感想


とにかく、冒頭モノクロで映し出される、原爆投下後の映像がショッキングです。
焼け爛れた皮膚で水を求め歩き回る人、瓦礫の中でうごめく人々
川を流れる黒焦げの死体・・
有無を言わさぬ映像のラッシュは、そんじょそこらのホラーよりもすごい。
 
5年後、
原爆投下時に「黒い雨」を浴びてしまったヒロイン(田中好子)は
年頃になっても、原爆症のうわさがたち、縁談がまとまらない。
 
戦争の後遺症で、精神を病んだ若者
 
「ピカ(原爆)にやられたからな」
原爆症の発症に怯えつつも、静かに運命を受け止めているかに見える人々。
 
アメリカはどうして東京じゃなく、広島に原爆を落としたんだろう」
そんな素朴な疑問を語り合うシーンがあるけれど
社会情勢については、時折流れるラジオのニュースで垣間見せるのみで
それ以外は、一切社会的なことに触れるわけでもない。
 
最後まで辛抱強く、運命を受け止めるスーちゃん演じるヒロインは
日本人の代表選手だったかもしれませんね。
やせて髪が抜けてしまう、終盤のスーちゃんに、彼女自身の最期を重ね辛かったですが
静かで、とてもいい演技でした。
 
原爆の影響と怖さ、運命を狂わされる人々の様子が淡々と描かれる本作は
記録映画としても大きな意味を持つものだろうと思います。
 
私たち日本人は、世界の誰よりも、原爆の怖さを知ってるはずだったのに
いつのまに、豊かな暮らしの代償に、命のリスクを背負うようになったのかな。
考えさせられます。
 
 

次は「」から始まる映画だよん @0@ノ めーー