しまんちゅシネマ

映画ノート

トラウマ映画館『尼僧ヨアンナ』

 
町山さんのトラウマに挑戦!
塗りつぶし2本目になるのは、ポーランドエクソシスト『尼僧ヨアンナ』。
ポーランドの作家ヤロスワフ・イワシキエウィッチの『天使たちの教母ヨアンナ』を基にした作品で
カンヌで審査員特別賞を受賞しています。
尼僧ヨアンナ(1961)ポーランド
監督:イェジー・カヴァレロヴィチ
出演:ルチーナ・ウィンニッカ/ミエチスワフ・ウォイト/アンナ・チェピェレフスカ
 
 
【ストーリー】
舞台は17世紀中ごろのポーランド。辺境の寒村では、尼僧院のうわさでもちきりだ。
美しい尼僧院長のヨアンナが悪魔にとりつかれ、修道尼たちも悪魔のダンスを踊るうようになったという。
ヨアンナに悪魔を乗り移らせたと噂される前任のガルニエツ神父は砂丘で火炙りの刑に処された。
ヨアンナの悪魔祓いに遣わされたスリン神父は、祈りを捧げた後、尼僧院へと乗り込んだ。
 
町山さんによると、『尼僧ヨアンナ』の原作は、ルーダンで起きた悪魔憑き事件を描いた『ルーダンの悪魔』を
ポーランドを舞台に置き換えて著したものらしいのですが
フリードキン監督の『エクソシスト』も、やはり『ルーダンの悪魔』が元になってるらしいとのこと。
『尼僧ヨアンナ』でも、ヨアンナが悪魔のような声音で、汚い言葉を吐く場面があるものの
エクソシスト』のような過激な特殊撮影を用いているわけではなく
その正体は、ややあいまいです。
途中、自身に葛藤するスリン神父が、ユダヤ教のラビに相談に赴くシーンがあるのですが
そこで交わされる言葉が印象的なんですね。
「何をもって悪魔と呼ぶのか」
「悪魔を作ったのも神」
「なぜ天使は人間の女に巨人を生ませたか」
「なぜユダヤ人を苦しめるのか」などと聞いていると
この物語における悪魔とは、ポーランドを苦しめるナチスソ連を指しているのかもしれません。
広義にとらえて、人間の愚かさを描いてるともいえるでしょうか。
 

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町山さんのトラウマもわかります。
美しいヨアンナがみせるブリッジ!
壁を這うように歩く邪悪な表情
床をゴロンゴロンと転げ去るシーンの異様さと言ったらないですから。
尼たちの踊りも異様なのだけど、
『灰とダイアモンド』のイェジー・ウォイチックによる奥行きのあるモノクロ映像は
計算された美しさを感じます。
 
 
多くを語らない映画ですが
スリンとヨアンナ、悪の心を追い出そうと、それぞれの身体に鞭打ったあと
二人の間に、愛が芽生えるんですね。
なにかそこには感動しました。
 
しかし、多くを語らない故なのか、途中やたらと眠くなる映画でもありました。
私が悪魔にとり憑かれていたのかも(^^;)