しまんちゅシネマ

映画ノート

アンナと過ごした4日間

 
 
今日も、東京国際映画祭関連
2008年に審査員特別賞獲得したポーランド作品。 イエジー・スコリモフスキの異色ラブストーリーです。
 
アンナと過ごした4日間(2008) ポーランド/フランス
監督:ベネット・ミラー
出演:アルトゥール・ステランコ/キンガ・プレイス/イエジー・フェドロヴィチ/バルバラ・コウォジェイスカ
 
ポーランドの地方都市、中年男レオン(アルトゥール・ステランコ)は、年老いた祖母と2人暮らし。
彼の日課は自宅の窓から双眼鏡で看護婦アンナ(キンガ・プレイス)の部屋を覗くこと。
アンナへの恋心は日増しに高まり、祖母が亡くなってまもなく、レオンはとんでもない行動に出る…。
 
冒頭から台詞や説明が殆どない。
年老いた祖母を看病しながら質素に暮らすレオンが
ビニール袋から手を取り出した時には、なんやなんや??
あ、病院で火葬のお仕事をしてたのね。
そういえば、切断した手足は日本の病院でも焼却するんだろうか。
 
 

おっと、話がそれたけど
とにかくホラーなのか、サスペンスなのかと色々に想像力を膨らませてくれるんですよね。
さて、レオンが看護婦アンナへの思いを募らせながら
やらかしたとんでもない行動というのが、アンナに夜這いをかけるということ。
といっても、アンナには睡眠薬を飲ませていて、レオンは彼女の寝顔を見るだけ。
 
実はアンナを知ることになったのは、ある事件に巻き込まれたことがきっかけになってるんだけど
その時からアンナはレオンの頭から離れなくなっちゃってるんですね。
 
まさに偏愛。
それを行動に移すのは暴走としか言いようがないのだけど
朴訥とし、みんなに馬鹿にされるようなタイプのレオンは、あの年でおそらく童貞だろうと思わせる。
アンナが唯一の女神となって、日々大きな存在になっていくのは想像がつくというもの。
 
思い切って忍び込んだことで、レオンはさらにアンナへの妄想を膨らませ
その行動も次第にエスカレートしてくるから、見ているほうも気が気ではない。
でも、タイトルから、私たちは彼の暴走も4日間で終わることを予想するわけで
4日目ともなると、その緊張も半端でなく、スリラー的な楽しみ方もできました。
 
暴走の果てに訪れるラストシーンは衝撃的。
全てを奪われ、途方に暮れるレオンに切なさを感じる一方で
現実の厳しさをたたきつけますね。
妄想は終わりにしなければ、、と。