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映画ノート

この愛のために撃て


 
フランスの新鋭フレッド・カヴァイエ監督 2本目となるサスペンスアクションです。
この愛のために撃て (2010) フランス
監督:フレッド・カヴァイエ
出演:ジル・ルルーシュエレナ・アナヤロシュディ・ゼム/ジェラール・ランヴァン/ミレーユ・ペリエ
   クレール・ペロ/ムーサ・マースクリ/ピエール・ブノワ

こちらもオスカー前哨戦ナショナル・ボード・オブ・レヴュー賞で外国語映画賞にノミネートされていました。
 
パリの病院で看護助手として働くサミュエルは、美しい妻の出産を待ちわび、幸せな日々を送っている。
ところがある日突然、家に押し入った暴君により殴り倒され、妻を誘拐されてしまう。
犯人はサミュエルの病院に入院中の患者を病院から連れ出すよう要求。
イムリミットは3時間!
 

前作『すべて彼女のために』同様に、善良な市民が犯罪に巻き込まれ
愛する妻を救出すべく奮闘する姿を描く作品です。
 
今回は身重の妻が誘拐され、犯罪者相手に戦わなければならない
しかもタイムリミットありということで、緊迫感の増した作品となってます。
 
一人の男が逃走の末、トンネル内でバイクに跳ね飛ばされる冒頭から掴みは最高。
主人公サミュエル(ジル・ルルーシュ)に白羽の矢が立ったのは、
入院中のサルテを暗殺しようとした犯人を遠めに目撃しているからでもあり
言ってみれば、犯人にとって邪魔な存在。
邪悪な犯人にいつ殺されてもおかしくないシチュエーション、しかも警察にまで追われるとあって、
病院を出たあとにも半端ない緊迫感が付きまとうわけですね。
 
意外性があるのは犯人の正体。
これは比較的早いうちに分かってくるのですが
それだけに敵か味方かの判断がつき難くて怖い。
この意外な犯人が、どうやって事件に係ってくるのか、
サルテとの関係は何かという事実に迫るのも面白さの一つです。
 
85分というコンパクトさで、ノンストップの救出劇となるわけですが
正直突っ込みどころもありw
昨日まで呼吸器を必要としていた重症患者が、そんな元気になる?とか
警察署内がにわかにゴッタゴタの忙しさになるのとかも無理やり~(笑)
 

それでもこの映画を面白く観れるのは、愛する妻を思う主人公の一途さでしょうね。
妻を演じるエレナ・アナヤは、先日観たアルモドバル作品『The Skin I Live In』で
美しいヒロインを演じた人でした。眼がでかくて可愛い。
 
サルテとサミュエルがともに窮地を潜り抜けるうちに次第に協力し合い
不思議な友情のような絆が芽生えているのも見所でしょうね。
 
ただし83分では内面を描くには短すぎるでしょう。
緊張感とアクションは良かったのだけど、ヒューマンな部分で物足りなさを感じた一本。
ラストシーンは何を意味するのかな?続編ありなの?
 
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  さんきゅ