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映画ノート

おとなのけんか



 
おとなのけんか
2011年(フランス・ドイツ・ポーランド
原題:Carnage
監督:ロマン・ポランスキー
出演:ジョディ・フォスターケイト・ウィンスレットクリストフ・ワルツジョン・C・ライリー
【ストーリー】
子ども同士のケンカを解決するため2組の夫婦が顔をあわせ、話し合いを始める。最初は理性的に進められていた話し合いも、時間がたつにつれ各々の本性がむきだしになり、やがてそれぞれの夫婦間にも不協和音が生じていく。(映画.comより)



舞台劇の映画化だそうですね。劇場を逃しDVDで観ました。
ジョディ・フォスタージョン・C・ライリーの息子が、ケイト・ウィンスレットクリストフ・ワルツ夫婦の息子にケガをさせられたってことで、ケイト&クリストフ夫妻がジョディ宅に話し合いにやってくる
その二組の夫婦のやり取りを室内劇で描いております。

ポランスキーがこんな会話劇?って驚いた作品だったけど、これ面白かったなぁ。
とにかく実力派の役者4人がそれぞれに上手い。
特に頑張ってたのは女性陣でしょうか。
裸体を披露せずに、ここまで素っ裸な演技を披露したケイト・ウィンスレットには
お疲れ!と肩をポンと叩きたいところだけど、
終わって肩を揉み揉みしてあげたいのはジョディ・フォスターやね。

被害者側の妻ペネロペを演じるジョディは、世界の人道的な問題も扱うライターという役どころ。
加害者の夫妻を目一杯のホスピタリティで迎えるものの
母親として、相手が息子にちゃんと謝ったかなんてことが気になるわけで
いくら笑顔を作ったところで内心穏やかでない。
それは冒頭、彼女がしたためた「報告書」の文章の一つの単語にも現れていて
「棒切れで叩いた」とだけ書けばいいものを、わざわざ「武装した」と書く。
加害者側の夫ヴァルツ演じる弁護士のアランに指摘され訂正するものの
ペネロペのこの隠された攻撃性と偽善者面は映画の鍵であり
終いには、彼女の不満の源は・・なんて話になってきて
こうなったらもう子供の喧嘩の話はどこへやら
まさに大人の喧嘩へとスケールアップしてしまうんですね(笑)

まぁ、勿論ジョディだけでなく、4人がそれぞれに本性を現していくところが
面白いところでもあるのだけど
みんなが壊れ始めるきっかけをつくるのがヴァルツさんにかかってくる仕事の電話。
携帯がなるたびに場が凍りつくもんだから、観てるほうはハラハラしながらもこれが笑える。
終わってみると、最初に感じた4人の印象は全員違ったものになっていて
自分の人物像の読みが覆されたところにもしてやられた感がありました。

さすがポランスキーやね。って
よく知らないのに言ってしまいたくなる自分がいましたw
ちなみに原題のcarnageは「修羅場」の意(笑)