しまんちゅシネマ

映画ノート

袋小路


袋小路
1966年(イギリス)
原題:CUL‐DE‐SAC
監督:ロマン・ポランスキー
出演:ドナルド・プレザンスフランソワーズ・ドルレアック、ライオネル・スタンダー、ジャクリーン・ビセット

【ストーリー】
中年でハゲ上がった頭の特異な風貌の男と、若いが変に物憂げな女との妙な夫婦が新生活を営むため、全財産を投げうって古城に移り住む。海に囲まれ、孤立したこの城に、逃亡中のギャングが侵入したことから、平穏に見えた二人の生活は、ことごとく、覆されるのだった……。(映画.comより)


 
ポランスキー繋がりです。

 古城に住むのは若く美しい妻テレサと、彼女に不似合いな中年の夫。
テレサはすでに近所の若者と通じていて
ネグリジェを着せられ笑いものにされても妻を叱れないような
優しいだけの夫にはすでに愛想をつかし、孤独を感じている様子。
そんな時に逃亡中のギャングがやってくるのですが・・

なるほど、タイトルは袋小路。
夫に愛情を感じられなくなった妻テレサも、
妻との暮らしに賭けるしかない夫(ドナルド・プレザンス)も
ミッションに失敗した手負いのギャング(ライオネル・スタンダー)も
思えばみんな何かを待ちながら、古城=袋小路で立ち往生する同志。

この袋小路から抜け出せるのは誰なのか。
ってわけですね~。

ポランスキー初期の作品だけど、
ギル・テイラーの撮影によるモノクロ映像はドヌーヴの『反撥』に通じるところがあり
下から見上げるアングルが、観るものを不安にするような怖さがある。
主演の美女もカトリーヌ・ドヌーヴ似で、ポランスキーの好みなのねぇと思ったら
なんと、ドヌーヴの姉フランソワーズ・ドルレアックだった。

サスペンス性を漂わせながらも、
段々にそれぞれの孤独が浮き上がってくるという作りが上手いね。
ギャングのオヤジが強面なのに、優しいところがあって、
テレサのことも、夫以上に理解するところとかもいい。

最後はそうか、そうきたか。

結局、どうしても抜け出せなかったのは二人、、いや一人かな。
切ないけど鮮やか。
地味だけど奥深い作品でした。