しまんちゅシネマ

映画ノート

ヘルプ 心がつなぐストーリー

日本公開になるものはサクサク移動させたいと思います。
今日は昨年8月17日に、数列前に座った人の
ミラーボール状の帽子のキラメキを気にしながらを観た本作を。
いや、もう「ヘルプ!」って感じでしたが(笑)

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ヘルプ 心がつなぐストーリー
2011年(アメリカ)
原題:The Help
監督:テイト・テイラー
出演:エマ・ストーンジェシカ・チャステインヴィオラ・デイヴィスブライス・ダラス・ハワードアリソン・ジャネイオクタヴィア・スペンサー

【ストーリー】
南部の上流階級に生まれた作家志望のスキーターは、当たり前のように黒人のメイドたちに囲まれて育ったが、大人になり白人社会に置かれたメイドたちの立場に疑問を抱きはじめる。真実を明らかにしようとメイドたちにインタビューを試みるスキーターだったが、誰もが口を閉ざすばかり。そんな中、ひとりのメイドがインタビューに応じたことから、社会全体を巻き込んだ大きな事態へと進展していく。(映画.comより)


本作は2009年に出版されベストセラーとなったキャサリン・ストケットの同名小説の映画化
60年代前期のミシシッピーを舞台に、南部に生きる女たちの姿を描くコメディドラマです。
アカデミー賞の作品賞にノミネートされ、オクタヴィア・スペンサー助演女優賞獲得するなど
早い時期の公開にもかかわらず、予想以上の快進撃を繰り広げましたね。

大学を卒業した作家志望のスキーター(エマ・ストーン)は、地元ジャクソンに戻り新聞社に就職
「女性の仕事」についてのコラムをまかされることになった。
思い出すのは、幼い自分を可愛がってくれた黒人メイドのこと。
スキーターは親友の家で働くメイドのエイブリン(ヴィオラ・デイヴィス)にインタビューを試みるうち
メイドたちの待遇の酷さを知ることになり、その実態と本音を綴る暴露本「ザ・ヘルプ」を出版することに。
そのことは、南部の社会に大きな波紋を投げかけることになるのだが・・。というお話。
奴隷制度が終わった後も、ミシシッピーをはじめ60年代の南部地域では
水のみ場もトイレも黒人用、白人用と分けられるなど
黒人への差別は当たり前のように残っていたというのは
映画『ミシシッピー・バーニング』などでも描かれてました。
でも、メイドが勤め先の家のトイレを使うことさえ許されない実情など、知る由もなかった。
本作は、当時のハリウッド作品では描かれない、黒人メイドたちの実態を
メイドの本音を交えユーモラスに描いているところが面白いんですね。
大活躍なのが、メイドのミニーを演じるオクタヴィア・スペンサー
原作者のストケットと監督のテイラーとは幼馴染らしいですが
ハリウッドで最も面白い女優25人( Entertainment Weekly) に選ばれた面白さはお墨付きで
雇い主の白人女性ブライス・ダラス・ハワードとの攻防は見もの。
アカデミー受賞式恒例のオープニングムービーで、問題のチョコパイを『ブライズメイド』の
あのシーンに繋げたのには爆笑w
エイブリンを演じたヴィオラ・デイヴィスは年齢不詳の暗い演技がうまいですね。
(アカデミー授賞式の姿は誰だかわからなかったw)
厳しい雇用環境にあっても、白人の子供に人として
精一杯の愛情を注ぐエイブリンの誠実さにも感動。
主演不在とも言える本作で、オクタヴィアとともに助演女優賞候補になりました。

等身大の演技に好感のもてるスキーター役エマ・ストーン
スパイダーマンのヒロインにも抜擢され、期待の若手です。

典型的な金持ちの南部女を演じるブライス・ダラス・ハワードの憎たらしい演技も似合いすぎ。
最近こんなのが続くけど大丈夫か?w
ジェシカ・チャステインの黒人メイドにも分け隔てなく接する柔らかな大らかさも似合ってました。

黒人が自分たちの不満を口にするなど許されない時代にあって
真実を伝えようとした人も、リスクを背負いながら彼女に協力したメイドたちの勇気も計り知れない。
人種差別という暗い側面を持つ映画ですが、痛快なユーモアの中に現実のほろ苦さが
散りばめられてるのが印象的な仕上がりです。