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映画ノート

リドリー・スコット『ブラックホーク・ダウン』

今日は今月のキーワードリドリー・スコットから
監督作品『ブラックホーク・ダウン』を。ブラック繋がりだしw
ソマリア内戦への国連介入と失敗を描くノンフィクション小説『ブラックホーク・ダウン アメリカ最強特殊部隊の戦闘記録』をもとに、1993年にソマリアで起こった市街戦を描く戦争映画です。



ラッホーク・ダウン
2001年(アメリカ)
原題:Black Hawk Down
監督:リドリー・スコット
出演:ジョシュ・ハートネットユアン・マクレガー
トム・サイズモアサム・シェパードエリック・バナ
ジェイソン・アイザックスウィリアム・フィクトナー
ユアン・ブレムナー、ガブリエル・カソーズキム・コーツ
オーランド・ブルームトム・ハーディ



ソマリア内戦は記憶に新しいところですが、米軍を含む国連が介入し
こんな壮絶な戦いを繰り広げたことも漠然としか知りませんでした。

内戦の激化で難民の飢餓が国際問題となり、
国連はアイディード派による敵対者たちへの軍事的包囲をやめさせ、
飢餓を救うべく、軍事介入を行います。
そんな中、国連の構成メンバーである米軍は、モハメッド・ファッラ・アイディードの副官2名を捕らえる作戦を独自に計画。
30分で終わると思われたその作戦は15時間にも及び、
結果、市民を含む多数の死傷者を出しながらミッションは失敗。
その壮絶な市街戦「モガディッシュの戦闘」を描くのが、本作なんですね。
ちなみにタイトルは、米軍ヘリブラックホークの撃墜を確認した通信時の言葉
「We got a Blackhawk down」から。

米軍の軍事作戦の中でも史上最悪と評される戦いとなってしまったわけだけど
リアルな映像の迫力に圧倒される作品でした。
アイディード派は情報を素早くキャッチし、手回しをする。
一般市民を民兵の前に置くことで、射撃をためらわせるなど
長く内戦を戦ってきただけあって、彼らは思った以上に賢く強い。
一方作戦を戦う米軍兵士の中には、人を撃ったこと等ない兵士もいる
米軍の考えの甘さも露呈するところです。

ホテル・ルワンダ』で、国連の介入が及び腰だったのには
この作戦の失敗も無関係ではない様子。
軍事介入の難しさを考えさせられますね。
何故他国の戦争を闘うのか、兵士でさえ答えを見いだせない。でも、飢餓やジェノサイトを見逃すことはできない。
兵士たちは、極限状態の中、命を差し出し戦っているわけで
国の方策は置いておいても、この作品で描かれる兵士一人一人の志は尊く
胸に迫るものがありました。





豪華出演者の中で印象的だったのはデルタ・フォースの軍曹を演じたエリック・バナ
彼が戦争を戦うのは、ヒロイズムからではなく、
そこに戦争があり、救うべきものがある限りは戦い抜くという姿勢。
病的に描かれてはいないけれど、
彼の中にも『ハートロッカー』のジェレミー・レナーを見た思いです。

本来参加するはずの無かったレンジャー班のユアン・マクレガー
怪我人に代わって作戦に参加することになり、建前と本音の複雑な表情を見せる。
そうだよなぁ、誰だって怖いよね、と共感を呼ぶ役どころですね。

主演にジョシュ・ハートネット
兵士の中にトム・ハーディがいたのは嬉しい発見でした。
これがハーディのハリウッドデビュー作品だったんですね。

★★★★