しまんちゅシネマ

映画ノート

殺し屋として生まれ変わる女の悲哀『ニキータ』

アンヌ・パリローが政府機関に属する女殺し屋を演じて世界を魅了した
リュック・べッソンの傑作アクション映画『ニキータ」です。

 

ニキータ
1990年(フランス)
原題:Nikita
監督:
リュック・ベッソン
出演:アンヌ・パリロージャン=ユーグ・アングラード
チェッキー・カリョジャンヌ・モロージャン・レノ


アンヌ演じる不良少女ニキータは、強盗殺人で捕らえられ終身刑を言い渡された後
身分を抹消され、政府機関の殺し屋へとして生を与えられることになるんですね。
数年の厳しい訓練ののち、ついに外の世界に放たれる。
恋人もでき、新しい生活を始めるものの、
殺し屋としての任務から逃れることはできない。
ニキータに幸せな未来はあるのか といったお話。

アラン・ドロン主演の『危険なささやき』ではまだ初々しいアンヌでしたが、
本作では狼少女のように野性味のある不良娘から
美しい凄腕の殺し屋へと変貌するニキータを演じ
その化けっぷりで観るものを楽しませてくれました。

ミッションを遂行するシーンは緊張感が漂います。
特にホテルの浴室からの狙撃シーンはハラハラすると同時に
恋人に身分を偽り、暗殺者として生きるしかないニキータの悲哀に
胸が締め付けられます。
ブリッジット・フォンダ主演の米リメイク版の方を何度も観ていただけど
やはりこれはオリジナルの圧勝。
特に好きなのは恋人マルコ(ジャン=ユーグ・アングラード)は勿論
ニキータの指導係のボブ(チェッキー・カリョ)も
形は違えど、静かにニキータを愛しているのが伝わる演出。
最後に彼が見せる表情には、諦め、嫉妬、安堵、希望など
色んな思いが凝集されているように感じました。

クリーナーとして登場したジャン・レノがストイックな生き様を垣間見せ
その怪演が人気となって、スピンオフ的に『レオン』が生まれたようですね。
浴室でのホラーな仕事振りには溶ける^^;

フランスにはこんな政府機関があるのかと驚くし、
未成年者を更生させる道は他にあるんじゃないかと
ツッコミたい部分もあるけれど
タイトな女殺し屋ものとして見ごたえがありました。
ハッピーエンドで終われない物語に切なさは残るものの、
どこか小さな希望も感じさせてくれるラストシーンも秀逸です。

★★★★