しまんちゅシネマ

映画ノート

犬神家の一族

今月は邦画も観ていくよ、ってことで
今日は『犬神家の一族』!
言わずと知れた横溝正史金田一耕肋シリーズの代表作
市川崑監督の1976年のオリジナル版を観ました。



犬神家の一族
1976年(日本)
原題:
監督:市川崑
出演:石坂浩二高峰三枝子草笛光子
島田陽子加藤武あおい輝彦坂口良子


信州・犬神財閥の創始者、犬神佐兵衛がこの世を去り、
遺言が一族に伝えられるのにあわせ、那須に探偵金田一耕肋が呼ばれる。
顧問弁護士の助手がこれから一族で起こるであろう争いに恐れをなし
助けを求めたのだった。
しかし、金田一と待ち合わせの宿で若林は死体となって発見され
事件の幕が切って落とされた。

9人の近親者が集まり、遺言が読み上げられると
松竹梅の名を貰った3人の娘たちは大激怒。
それは、佐兵衛の古くからの恩人野々宮大式の孫娘、
珠世(島田陽子)を第一相続人とした内容だったから。
果たして、犬神家では忌まわしい殺人が起こり始め
金田一耕肋が謎を解き明かしていく という話。

大昔にテレビで観て以来、久しぶりに鑑賞しました。
今観ると凄い出演者にびっくり。
佐兵衛が三国連太郎であることにも後から気づいたのだけど
彼の起用は適切でしたね。
愛するものに本当の愛を与えられず、
その反動から阿漕な仕事にも手を染め、戦争が事業の拡大に拍車をかけた。
佐兵衛の人生そのものが呪われたものであり、
そうして築いた財産が、新たな争いを呼ぶことを憂い
彼は一族の呪いを、自分の死と同時に断ち切りたかったのでしょう。
終わってみれば、佐兵衛の執念が映画を支配していたことに気づかされます。
死の床に横たわるだけの出演で、その人生を想像させるのは
三国の存在感があればこそでしょうね。
哀愁を帯びたテーマ曲も雄弁です。

さて、おどろおどろしさも売りでもあったこのシリーズ
本作で一番印象に残るのはマスク姿の佐清と、
もうひとつは、湖から脚の突き出たポスターのシーンでしょう。

これいまだにトレンドなようで(笑)
画像検索するとこんなのも出てきますよ。

    スケキヨ丼             

             


お店のディスプレイにも応用されてます(笑)




本作で金田一さんを演じるのは石坂浩二
彼が水戸黄門を演じることになるとは当時は夢にも思いませんでしたがw
頭が切れるのに、飄々として素朴な金田一ははまり役。
女中の坂口良子とのやり取りも微笑ましく
オアシス的な味付けとなってますね。

人情味溢れるラストシーンも本当に魅力的。
見送りに集まった面々の顔を想像すると楽しいし
それを描かずに終わるところなんて、粋じゃありませんか。

★★★★