しまんちゅシネマ

映画ノート

東京ゴミ女

廣木隆一監督、中村麻美主演で、片思いの彼のゴミを盗んでは収集する女性の
歪んだ恋愛の顛末を描くドラマ。早速観てみました。




東京ゴミ女
2000年(日本)
原題:
監督:廣木隆一
出演:中村麻美鈴木一真柴咲コウ
小山田サユリ戸田昌宏、田口トモロウ


本作は「純愛」をテーマに、6人の日本人監督が、
同じ条件(700万円以内、デジタル・ビデオを使用)の元に映画を製作、上映する
「ラブシネマ」という企画の一環で作られた作品だそうです。

中村麻美演じるヒロインみゆきは、同じマンションに住むヨシノリに片思いし
彼の出すゴミを持ち帰っては、煙草の吸殻などを収拾しているヤバい女の子。
ゴミから彼の生活を想像したり、ウェイトレスとして働く以外、
その生活の全てをヨシノリのゴミとの暮らしが占領しているんですね。
時には復縁を望む元カノの手紙を見つけ、
自分が恋人だからすっこんでろと進言したり、
妄想恋人ぶりはエスカレートする一方。
さて、そんなみゆきの恋の顛末は、、、という作品。





片思いの彼のことをもっと知りたい。
彼の食べてるものを食べ、同じ煙草を吸うのが嬉しい。
それは極自然の感覚だけど、これはちょっと様子が違う。
企画のテーマは「純愛」だけど、これは妄想、
あるいはバーチャルの純愛に近い変化球な一本ですね。

でも最近こういう若者が実際に増えてるんだろうなと思うんですよ。
この映画の他の登場人物たちも似たようなもの。

同僚のウエイトレス京子(柴崎コウ)は外人とのセックスに明け暮れ
将来にはきりした展望を見いだせないでいる。
茶店の店長(田口トモロオ)は、
みゆきや京子が仕事中煙草を吸おうが、客を無視しようが
何も言わないし、何も聞かない。
でも18歳以上の女の子に興味なしという変わり者。
常連客の爺は、夢の島も東京タワーも全部自分の力で作ったような口ぶり。
彼らの日常を考えると、どうも虚無に見えてくる。

そんな中、みゆきにアプローチしてくる川島(戸田昌宏)は
見方によってはストーカー的でもあるけれど
現実のみゆきに当たって砕けようとするところは十分に前向きで
他の登場人物たちと、異質な存在に描かれてる気がして興味深い。

妄想に走るのは現実に立ち向かうより楽かもしれない。
それでも、あるときふと、自分はこれでいいのか?と思うことはあるよね。
みゆきが自ら夢の島に向かう映画のラストは清々しいものがあり
現代の若者の虚無感をちょっぴりの希望を持って描く青春ドラマとして
とっても面白く観ました。
主演の中村麻美ちゃんのおパンツ姿が可愛かった!


★★★☆