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映画ノート

ザ・デット ~ナチスと女暗殺者~



リメイクシリーズ、今日はヘレン・ミレン主演の『ペイド・バック』(2010)のオリジナルとなるイスラエル作品。モサドを描くスパイ・サスペンスです。




ザ・デット ~ナチスと女暗殺者~<未>(2007)イスラエル
原題:The Debt
監督:アサフ・バーンスタイン
出演:ギラ・アルマゴール、 ネタ・ガーティ、イエズケル・ラザロフ、 アレクサンダー・ペレグ、エドガー・セルジュ、 オーデッド・テオミ

1964年、モサド工作員、レイチェル、エフド、ズヴィの3人は、ナチス戦犯である医者ヴォーゲル東ドイツで殺害し帰国、英雄となった。
しかし30年経って、レイチェルらの元にヴォーゲルウクライナで生きているとのニュースが入る。実は30年前、3人は拘束していたヴォーゲルを逃がしてしまっていたのだ。
事実が明かされることを恐れた3人は、密かにヴォーゲルを殺害し30年間の負いに決着をつけようとするが・・ という話。

リメイク版では若きレイチェルをジェシカ・チャステイン、30年後をヘレン・ミレンが演じていて、話す言葉も英語ということに違和感を感じてしまったのですが、今回はイスラエル映画ということで、その点はすっきり。

またリメイク版は30年前の出来事を「藪の中」方式で描いている。
すなわち、嘘と現実それぞれを映像で見せるという手法がとられ、観ている方も「真実は?」と惑わされる作りで、面白いのだけど、過去と現在を平行して描く作りの中、同じシーンが二度繰り返されることにもたつきを感じたのも確か。
その点、オリジナルは過去の事実のみを描くというシンプルさで、その分、30年間抱えてきた負いの大きさにウェイトを置く作りとなっている点が良かった。
ヴォーゲルとのやり取りで、ユダヤ人としての怒りが痛切に伝わるところもイスラエル産ならではでしょう。

レイチェルおばさんに至っては、見た事ない太目の女優さんゆえ、このミッションをやりとげることができるのかと不安にかられるのがかえってよかった。
ヘレン・ミレンは意外にやってくれるの知ってるしね(笑)
どうせならリメイクはジャッキー・ウィーヴァーが似てて良かったのにと思ったり(笑)

リメイク版も面白かったですが、儚いラストの余韻など
やっぱりオリジナルに軍配かな。