しまんちゅシネマ

映画ノート

名作『切腹』リメイク 『一命』




2011年のカンヌ出品作品から、 今日は時代劇『一命』を。
一命(2011)日本
監督:三池崇史
出演:市川海老蔵瑛太満島ひかり竹中直人青木崇高新井浩文波岡一喜中村梅雀役所広司
名作『切腹』のリメイクを三池崇史監督が3Dで撮るというのを最初に聞いたときには驚きました。
残念ながら3Dで鑑賞は出来なかったけど、映像はどうだったんでしょう。
しかし2Dでも見ごたえたっぷり。面白く鑑賞しました。

天下太平の江戸時代初頭、地方の武士の暮らしは逼迫。
貧しい浪人風情も苗字と帯刀が許され、「武士は食わねど高楊枝」という言葉どおり、武士の誇りだけは持ち続けていたんですねぇ。



一人の浪人(市川海老蔵)が、切腹を申し出、大名屋敷にやってくる。
屋敷側は、先日の千々岩求女(瑛太)という若い浪人の切腹騒動の一部始終を話し、切腹を思いとどまる様進言する。少しの金銭を手にするための狂言切腹の横行に辟易していた屋敷側は、求女の切腹を許可したのだった・・・。

竹の刀による切腹シーンのグロさ、病に伏せる満島ひかりの表情などは、さすがホラー畑の三池監督(笑)
津雲半四郎を演じた市川海老蔵の演技を拝見するのは初めてでしたが、半四郎には少し若すぎるとは思うものの、風格ある演技に、名門の血は伊達じゃないと唸りました




武士の誇りを捨て、狂言切腹を申し出ることを決意した求女、
途中で取り下げることをしなかったのは、やはり武士の「誇り」が邪魔をしたのでしょう。
そんな「誇り」や「面目」哀しすぎるじゃないか!

何より許せないのは、哀れな浪人の最期をあざ笑う侍たち。
勿論貧しい時代を背景にした時代劇ではあるけれど、思いやりのない「誇り」などの無意味であり、見栄よりも大事なものを忘れてはいけないという映画のメッセージはいつの時代にも通じるところ。

時代劇としても面白かったですが、家族のドラマとしても見ごたえがありました。
お饅頭があんな風に伏線として使われていたとは・・。
最後に緑のお饅頭が出てきたときには、たまらず涙が溢れましたねぇ。




トラックバック一覧

  1. 1. 一命

    • [いやいやえん]
    • May 14, 2013 13:10
    • 同じ原作を使ってるため、実質的に「切腹(1962年)」のリメイク作品になってると思う。…なのでどうしても比べてみてしまいますが、残念ながら「切腹」ほどのただならぬ緊張感や迫力をどうしても感じ取れなかった。逆に言えば「切腹」の良さが改めて際立って見えたとも