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映画ノート

ナイトウォッチ






ナイトウォッチ(1997)アメリ
原題:Nightwatch
監督: オーレ・ボールネダル

サム・ライミ製作で話題の新作『ポゼッション』のオーレ・ボールネダル監督の代表作。デンマークでのデビュー作『モルグ』をハリウッドでセルフリメイクした作品です。

大学院生のマーティンは(ユアン・マクレガー)、恋人(パトリシア・アークエット)の反対を押し切って死体安置所(モルグ)のバイトに就く。そんなある日、誰もいないはずのモルグでけたたましい非常ベルの音が鳴る・・・。

モルグでバイトを始めた青年が事件に巻き込まれる様を描くサスペンススリラーです。

冒頭、酒場で談笑する主人公とその友人たちのバックでは、殺人事件のニュース。
検察官のニック・ノルティがメディアのインタビューに答えている。

やがて迎えるモルグでの仕事。
誰もいないはずのモルグに響く風の音や非常ベルなど、監督のオーレ・ボールネダルは「音」やでスリルを煽ってきますね。勿論その音に反応するユアンのオドオドの演技も恐怖を共有するのに効果的。
過剰とも思える効果音とBGMで派手めなサスペンスを演出しつつ、ユアンの周りで起きた娼婦殺人事件の犯人に迫るミステリーでもあります。

残念ながらカルトと評判のオリジナルの『モルグ』は未見で、比べられないのだけど、舞台が死体の転がるモルグというだけでも怖そうな雰囲気は満点で、飽きることなくスリルを楽しみました。

モルグでの警備の前任者のじいちゃんがまたいい感じに怖いですがw
彼からの引継ぎに、その後に活躍するアイテムがいっぱい詰まっているのも上手い。
ただ「ラジオ」については、不気味な物音を聞く恐怖をかき消したり、BGM的な仕事をすることのほかに、何かきっと役割があるだろうと睨んでいたのだけど、特別なかったような。見逃したのかな。





窓越しや、人体のパーツの入った水槽からのショットなど、恐怖の対象を強調する映像も面白い。
終盤はありがちなアクションスリラーな展開になりますが、ここにきてジョシュ・ブローリンが活躍するというシナリオもいい。
ユアンの親友であるジョシュは前半から退廃的な空気を醸しだす青年で、恋人との関係も冷ややか。それでいてチンピラに喧嘩を売ったり、なにか刺激を求めてるんですよね。事件に巻き込まれる原因を作ったこともあり、ユアンの救出に必死になるジョシュ。大きな代償を払いつつも、最後に憑き物がとれたようにスッキリとした表情を見せるジョシュが印象的で、彼の成長物語という締め方が良かったですよ。

オリジナルも観てみたい!