しまんちゅシネマ

映画ノート

欲望のあいまいな対象



6月は日本でフランス映画祭が開催されるようなので、我が家もプチフランス映画特集。
気になりながらそのままになってた作品を中心に観てみようと思います。

まずはルイス・ブニュエル作品から




欲望のあいまいな対象(1977)フランス
原題:CET OBSCUR OBJET DU DESIR


正体不明のテロ事件が頻発するセビリアの町から、パリ行きの列車に乗り込んだのは、初老のブルジョワ紳士マチュー。追いすがる女にバケツの水を掛けた彼は、驚く乗客たちに奇妙な愛の体験談を語り始める……。

新入りの小間使いコンチータを見初め、愛人にしちゃおうとするブルジョワの老紳士が
コンチータに逆に利用され、翻弄される姿を描くルイス・ブニュエル監督の本作は、
妄想的愛欲に満ちた・・というか、エロジジイ炸裂な一本でして(笑)、
とても77歳で撮ったとは思えないシニカルで艶っぽい作品に仕上がってます。





面白いのは、コンチータを2人の女優さんが演じていること。
ツンとすまし、貞操帯に身を包む淑女風かと思えば、
あるときは情熱的な全裸のフラメンコダンサー
女性の多面性を表しているのでしょうかね。
甘い言葉に期待すればもったいぶられ、結局ジジイなんか相手にするかと蔑まされ
堪忍袋の緒が切れたはずなのに、また次の瞬間には、コンチータに寄り添うという

途中何度もテロのシーンが描かれるのだけど、
対象も曖昧なら、一寸先も何が起きるか分らない
短い人生、その一瞬を楽しく過ごすしかないよなぁ。
そんなことを思いながら観終えました。

1900年生まれ、激動の時を生きたブニュエル監督の遺作です。