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映画ノート

アラン・ドロン『泥棒を消せ』

 Once_a_Thief_1965


さて、今日から「誘拐」を題材にした映画を塊で。
まずはアラン・ドロン主演のクライムドラマ『泥棒を消せ』。

泥棒を消せ(1965)アメリ
原題:Once a Thief 
監督:ラルフ・ネルソン 
出演:アラン・ドロンアン・マーグレットヴァン・ヘフリンジャック・パランス
日本公開:1965/4
中国人経営の雑貨店で強盗殺人事件が発生した。
目撃者である店主の証言から、前科モノのエディ(アラン・ドロン)が逮捕されたが、まもなく証拠不十分で釈放される。しかしそのことからエディは貴金属店を解雇され、妻は生活のために働き始める。
そんな折、やくざな兄(ジャック・パランス)から金庫破りの話を持ちかけられ・・・

  
都合上「誘拐」でくくってしまいましたが、本作は「誘拐」が主題の映画ではありません。
観たらたまたま誘拐シーンが出てきたという程度ですが、すみません。
onceathief2

Once a Thief という原題が語るように、一度前科モノとなってしまった男の更生の難しさが描かれ、ノワールな結末とともに切ない余韻を残す作品です。
エディは美しい妻と可愛い子供のために堅気の道を歩くことを心に決めているのに、ことごとく邪魔が入るんですね。その一人、ヴィドー警部補(ヴァン・ヘフリン)は6年前に何者かに銃で撃たれていて、撃ったのはエディだと信じている。そのため、ことあるごとにエディを捕まえようとし、その度にエディは職を失ってきた。

エディにとっては天敵のはずなんですが、この警部補の存在が映画を面白いものにしています。
一つにはヴィドーもエディ兄弟もともにイタリアからの移民だということ。
彼らは移民として生きる者の意地のようなものを共有していて、エディは警部を憎々しく思う反面、その捜査力を認めてもいる。彼らの中に流れるある種の信頼関係と同胞の絆のようなものの描き方が凄くカッコいい。

once

前半ややフラットに感じるのが惜しいですが、
本気すぎてハラハラしてしまうアラン・ドロンのアクションは本作も健在。
金庫破り後の逃走シーンでは『ドライヴ』のワンシーンを彷彿とさせます。
序盤の伏線から結末は予想できるものの、そこに至るまでの「すれ違い」の描き方も秀逸で、
とても面白く観ました。

監督は『野のユリ』や『ソルジャー・ブルー』のラルフ・ネルソン
美しいアラン・ドロンも魅力的だし、DVDになってもいいと思うんですけどね。


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