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映画ノート

『8月の家族たち』:メリル&ジュリア オスカーノミネート




オスカー特集
今日はメリル・ストリープが主演女優賞、ジュリア・ロバーツ助演女優賞にノミネートされた『8月の家族たち』。ピューリッツァー賞トニー賞受賞の舞台劇の映画化です。
8月の家族たち(2013)アメリ
原題:August: Osage County
監督:ジョン・ウェルズ
出演:メリル・ストリープジュリア・ロバーツユアン・マクレガークリス・クーパーアビゲイル・ブレスリンベネディクト・カンバーバッチジュリエット・ルイス/ マーゴ・マーティンデイル/ ダーモット・マローニー /ジュリアンヌ・ニコルソン/ サム・シェパード
日本公開:2014・4・18

 オクラホマの片田舎。ビバリーサム・シェパード)が、住み込みの家政婦を雇った後姿を消し、病気のため毎日薬漬けの日々を送るヴァイオレット(メリル・ストリープ)の下に、3人の娘たち、ヴァイオレットの姉(マーゴ・マーティンデイル)夫婦が集まるところから物語は始まります。




 メリル演じるヴァイオレットは薬以外に何も信じることが出来ない女性。
その薬に依存した結果、毒舌に拍車がかかり、家族を深く傷つける。
夫(ユアン・マクレガー)との不仲を暴かれた長女バーバラ(ジュリア・ロバーツ)がたまらず怒りを爆発させ、場面はあっという間に修羅場と化すのでした。

痛い痛い家族を描く映画です。
ヴァイオレットの壊れっぷりは薬物依存からきているのかと思いきや、
物語が進み一家の秘密が見えてくると、それには深いわけがあったのだと分かってくる。




↑メリルのかつら姿は『ヴァージニア・ウルフなんか怖くない』のエリザベス・テイラーを彷彿とさせませんか?↓


↑このポーズ、メリルも何度か見せてました。意図的なのかな。

 明かされる秘密は勿論痛い。
けれどユーモアを感じる描き方で、それ言うとヤバいだろという緊迫のシーンでさえも、笑えてしまうんですよ。辛いだけの映画じゃなくて良かった。

 ラストのジュリア・ロバーツの表情が、吹っ切れなのか諦念なのか私には判断がつかないけれど、傷口に塩を塗りあうようなことがあっても、家族の関係は続いていって
月日の流れとともに、傷が癒えたり、新たな喜びに置き換わったりもするのだと思う。

 舞台となるオクラホマの田舎の 人里離れた古い屋敷が
秘密を閉じ込め、ひっそりと時を刻む一家を象徴しているかのようです。
結局何一つ解決しない映画に見えて、不思議に後味が悪くないのは
この家を飛び出した子供たちもいつかはまた帰ってくる
家族ってそんなものだよなぁと感じさせてくれるから。



ヴァイオレットの姉の夫にクリス・クーパー
その息子のベネディクト・カンバーバッチは出番は少ないながら大事な役どころでした。