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映画ノート

【映画】 呪われたジェシカ







呪われたジェシ(1971)アメリ
英題:Let's Scare Jessica to Death
監督:ジョン・ハンコック
出演:ゾーラ・ランパート / バートン・ヘイマン / ケヴィン・オコナー/
マリクレア・コステロ/ グレッチェン・コーベット

ストーリー

神経障害で入院していたジェシカは、夫とその友人と共に療養のため田舎町へやって来た。湖を臨む別荘へ到着した3人は、そこに無断で入り込んでいるエミリーという少女と出会う。やがて4人は共同生活を始めるが、ジェシカの周囲で奇怪な出来事が起こり始める……。




 背筋の寒くなる映画で梅雨を乗り切りましょう ということで、今日は前々から気になってた本作を鑑賞。

精神疾患を患うジェシカが療養に訪れた田舎の屋敷で「死ぬほど怖い目に遭う」という話です。



まず、お墓の刻印を紙に写し取り、壁に飾って楽しむというジェシカの趣味はやばくないですか。
夫婦が所有する車が霊柩車の払い下げなのも「おいおい」。
案の上、「死臭」に導かれるように、ジェシカの周囲で不気味な出来事が起こり始めます。



無断で家に入り込んでいたエミリー(左)とジェシカ(右)

ジェシカ夫婦が買った家はどうやらいわくつきらしく
その昔、その家の娘は結婚式前夜に湖で溺れ、死体があがらなかったとのこと。
村人たちは「娘は吸血鬼になった」などと噂している。
ジェシカが精神を病んでいることもあり、一連の出来事が全て彼女の幻覚とも取れるのだけど、お墓で見かけた少女が再び現れたときには、夫のダンカンにもしっかり見えていたとする演出を入れてくるので、観てる方は混乱。


病気が回復しなければ、夫の愛も失うだろう。
そんなジェシカの不安と、家にまつわる悲しい出来事が見せた妄想なのか
はたまたマジにゾンビか吸血鬼のお話だったのか、見た後にも答えは出ません。
でもそれでいいんでしょうね。静かな恐怖の中に物悲しさがあって嫌いじゃなかったです。


お墓で見かけた少女が突然姿を消したのは不気味でしたが、静かに鳴っていた音楽が急に止まるのも怖いんだね。
さっきまで水着を着ていたエミリーが、湖からあがってくるときには白いドレスを着ていたのには心底ぞっとしたし、人間はあるべきものがなかったり、あるはずのないものが出現することに恐怖を覚えるのだと思い知らされる演出が秀逸でした。