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映画ノート

【映画】 『宇宙からの脱出』:元祖『ゼロ・グラビティ』




宇宙から巨大な台風の雲を捉えた写真がネット上に掲載されていました。
それを見てこの映画を思い出した方もいるのでは?

宇宙からの脱出(1969)アメリ
原題:Marooned
監督:ジョン・スタージェス
脚本:メイヨ・サイモン
出演:グレゴリー・ペック/ リチャード・クレンナ/ デヴィッド・ジャンセン/ ジーン・ハックマン
ジェームズ・フランシスカス/ マリエット・ハートレイ/ リー・グラント/ ナンシー・コヴァック
日本公開:

アメリカの宇宙船アイアンマン1号(笑)の故障により3人の乗組員が宇宙空間で遭難。
管制センターでは3人を救助する手段が検討されるが・・


宇宙空間での遭難を描いた作品といえば、『ゼロ・グラビティ』が記憶に新しいですが
45年も前に宇宙からの脱出を描くこんな映画が作られていたんですね。
しかもこの映画が製作された翌年にはアポロ13号の事故が起きていて
本作が事故を予期したようだということでも話題になったようです。

ゼロ・グラビティ』のように宇宙空間で次々に異物が襲ってくるわけではなく、アクションを主体にした作品ではありません。大半は管制とのやり取りであることから静かな印象すらあります。
しかしながら地球からの救助を待つには、どう考えても酸素が足りない状況にあり、クルーが無事に生還できるのかとドキドキしながら行方を見守ることになりました。

劇中クルーは地球上空にハリケーンの雲を見ます。
このハリケーンが救助の妨げにもなるんですが、ある興奮も生み出す大事なポイントにもなります。



管制のトップにいるのがグレゴリー・ペック演じるキース。
何時何分レベルで細かな行動計画を口にするキレもののキースが、時に勇敢に、ときに苦渋の決断をし的確にクルーに伝える。この人に任せておけば間違いないというリーダー像を見事に演じてますね。

絶望感漂う中、映画は意外な結末を迎えます。
冷戦時代に作られたことを思うとこれは画期的で興奮してしまいました。




クルーの一人にまだ若きジーン・ハックマン
3人の中では一番暴れん坊な印象ながら、登場人物の背景等はあまり描かれないためキャラクターを掴むのは難しい感じ。もともと、この映画はフランク・キャプラが製作を進めていながら、資金の問題で断念し、ジョン・スタージェスが代わって引き受けたのだとか。
キャプラならもっと人物の心情にスポットを当てたのかなと思うところでもありますが、スタージェスの男気のある演出もよしです。




古い作品につき、映像は多少リアリティに欠けるものの、特撮でアカデミー賞を受賞しており
この時代にしては十分に頑張っています。
クライマックスでのハックマンの宇宙遊泳は期待に胸を膨らませた瞬間だっただけに
「ネタなの?」と爆笑しそうになりましたが(笑)
そんな部分含め、期待以上に楽しめた一本でしたよ。