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映画ノート

【映画】アン・リー『アイス・ストーム』




アン・リー
監督の『アイス・ストーム』を観ました。
アイス・ストーム(1997)アメリ
原題:The Ice Storm
監督:アン・リー
出演:ケヴィン・クラインシガーニー・ウィーヴァージョーン・アレン/ ジェイミー・シェリダン
クリスティナ・リッチイライジャ・ウッドアダム・ハン=バードトビー・マグワイアケイティ・ホームズ

コネチカットに暮らす二組の家族の、ある感謝祭の週末を描くヒューマンドラマです。


劇中、テレビから流れるのはニクソン大統領のインタビュー。
舞台はウォーター事件に揺れる1973年。
ベトナム戦争での敗北、現役大統領の政治スキャンダルと、アメリカが信じるものを失った混乱の時。
そんな時代を象徴してか映画に登場する二組の家族は、その機能を失っています。
世界情勢から目を背け、子供に興味を向けないままに不倫に走る親たち
一方、ニュースにかじりつき、男の子を性的に挑発するクリスティーナ・リッチなど
早足で大人になろうとする子供たちの描き方は対照的。
そして大人がパーティで羽目をはずすアイスストームの夜、ついに悲劇が起こるのです。



時代考証に定評があるアン・リーなので、衣装やインテリアも時代を感じさせるものになっていてさすが。
かぎ編み風のジョーン・アレンのベストなども懐かしかったけど
印象的だったのはシガニー・ウィーヴァージェーン・フォンダ風ファッション。
大きなアクセサリーが奏でる雑音は、世間の物音を聞こえなくさせているに違いないと思ったりもした。

スワッピングパーティなんてのも出てくるよ。
↓女性陣がボールに入れられた鍵をひとつ選んで、車の持ち主の男性をお持ち帰りできるシステムw



モラルさえも置き忘れてしまった時代の、機能不全に陥った家族の物語ながら、
最後に少し希望を感じさせてくれるところにアン・リーの優しさを感じます。
嵐に凍え、痛みを覚えてようやく目が醒めることもあるよね。
物語ごと時代を切り取った作品だったなと思います。

イライジャやケイティ・ホームズなど出演者がみんな若かったなぁ。
リッチもまだムチムチのころ。