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映画ノート

<span itemprop="headline">【映画】セレブレーション</span>



セレブレーション(1998)デンマーク
原題:Festen/The Celebration(米)
監督:トマス・ヴィンターベア(アンクレジット)
作品情報

あらすじ
 鉄鋼王ヘルゲの還暦を祝うパーティが催され、長男クリスチャン、次男ミケルをはじめ、親戚の者たちが続々と広大な屋敷に集まった。晩餐会は穏やかに始まるが、やがてクリスチャンのスピーチが始まると会場は凍り付いた。
トレーラー



セレブな一家の還暦祝いパーティで繰り広げられるハプニングを描くデンマークの俊英トマス・ヴィンターベア監督によるヒューマンドラマです。

屋敷に向う長男クリスチャンと次男ミカエル一家の様子を捉える冒頭以外、舞台はほぼ屋敷内。ここでは数ヶ月前にクリスチャンの双子の妹リンダが自殺していますが、それに触れるのはタブーのよう。
しかし、晩餐会でのクリスチャンのスピーチはそのタブーを破り、さらに一家のある秘密をさらけ出していくことになります。



タイトルのセレブレーションには還暦を祝う「お祝い」の意味のほか、セレブを皮肉る意味も込められているんでしょう。
一家の秘密はとにかくエグい。けれどもその秘密を受け流すセレブたちもまたエグい。
クリスチャンの発言は一触即発な緊張を生むんですが、しかしドロドロ劇のあとに一縷の光が見えてくるのがヴィンターベア流。


本作でも人の醜さ、弱さをとことん描いた後に、一家が絆を深め、事実に対処していく様子が良い後味を残します。
荒くれ者でどうしようもない奴と思われた次男ミカエルの意外な家族愛、事実から逃げていた自身への罪悪感に向き合い、新しい人生に踏み出すクリスチャン、器の大きなパートナーを得て、もう大丈夫だなと思える妹 家族それぞれに素直に拍手を送れるのです。

共同脚本を勤め、タクシードライバーの役でカメオ出演してる監督はこのときまだ20代。
可愛い顔してこんな濃厚なヒューマンドラマを撮ってしまうんだから、やはりただ者じゃない。
ドグマの基本にのっとった撮影が不安を掻き立てる効果もあり、幽霊譚のような見せ方もいかしてました。
カンヌでこの年の審査員賞を受賞。
カルトの呼び声も高い傑作なのに日本ではビデオしか出てないですね。
DVD化して欲しい一本です。

監督のカメオシーン画像見つからなかったので、カンヌのときの画像貼っておきます。
眉毛繋がってるけど可愛い。