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映画ノート

【映画】ライアン・ゴズリング初監督作品『ロスト・リバー』



原題:Lost River

あらすじ
ゴーストタウンと化したある街で、息子2人と暮らすシングルマザーは生活に瀕していた。

感想
貧困にあえぎながら突破口を見出そうとする人々の物語。
ライアン・ゴズリングの初監督作品ということで楽しみにしてました。

どこかのサイトで映画祭かプレミアで上映され最後は会場から失笑が起こったと紹介されていたので、ハードルを上げずに観ましたけど・・
あら、面白く観ちゃったわ。

舞台は経済破綻によりゴーストタウンと化したとある街。
そこに暮らすシングルマザーのビリー(クリスティナ・ヘンドリック
子供たち二人との生活に困窮し、家を奪われようとしている。
一家の長男ボーンズ(イアン・デ・カーステッカー)は廃墟のくず鉄を拾って家計を助けるが、街の不良ブリーにそれさえも阻止される状況。
幼なじみのラット(シアーシャ・ローナン)はこの街の衰退はダム建設のため、
あるものを湖底に沈めたからだと言うが・・。



まず自然光のみを使ったという映像が印象的です。柔らかな陽光を受けるシーンはマリック風、暗い室内を映し出すシーンでは色彩含めレフン風。ダークでグロテスクなナイトクラブの雰囲気はリンチなど、諸監督の影響を受けていそう。
地域住人も取り込み、苦しい状況を生きる人々をドキュメンタリーとファンタジーを融和させた感じは『ハッシュパピー』にも似ています。



ゴズリング自身、美しいシングルマザーに育てられ、周りの男を母を狙う狼のように感じていたとのことで、長男ボーンズがゴズリングの視線ということになるのでしょう。
ナイトクラブのシーンやブーリーの登場するグロテスクなシーンはまさに悪夢的。
この恐さがあるからこそ、観ているほうはそこから抜け出すことを祈らずにおれないし、最後には『ギルバート・グレイプ」に似た爽快感もある。
映画祭での失笑も作品全般に対してではなく、あるシーンの映像からじゃないかな。
私も思わず吹き出したもの(笑)

次に何が起きるか判らず緊張したし、美しく怪しい映像にも魅せられた。
ゴズリングの変態性を集約したようなベン・メンデルソーンや、
『マッドマックス』に出てきそうなブリー役のマット・スミス
ラットのお婆ちゃん役のバーバラ・スティー(『血塗られた墓標』!!w)など個性的なキャストもいい。

全部ひっくるめてゴズリング風ってことで。
私は応援したいです。

2015/6/12投稿