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映画ノート

【映画】もうひとつのチャイルド44『ロシア52人虐殺犯/チカチーロ』





ロシア52人虐殺犯/チカチーロ(1995)アメリ
原題:Citizen X
監督:クリス・ジェロルモ

あらすじ
モスクワ南部、ロストフ州。農場で子供の死体が発見された。州民警本部の検死官ブラコフは、近くの森から次々に発見された死体を検死、そのむごたらしさに涙する。事件を連続殺人犯の犯行とにらんだ彼は上層部に上申するが・・

感想
みーすけさんに教えてもらって鑑賞!

ロバート・カレンのノンフィクション小説『子供たちは森に消えた』を原作にした本作は、『チャイルド44 森に消えた子供たち』と同じアンドレイ・チカチーロによる連続猟奇殺人事件を描いたアメリカのTVムービーです。

ん?80年代の事件?
と思ったら、『チャイルド44』の方が時代設定を変えてたんだ。

スティーヴン・レイ演じる検死官ブラコフは、次々と運び込まれた死体を一晩かけて検死。上層部に報告する。



ところがこの時代にあっても上層部はまだ「共産主義国に猟奇殺人犯は存在しない」とか抜かしてまして、やがて刑事として捜査することを命じられるブラコフは、協力の得られぬ厳しい状況下での捜査を強いられるわけです。
『チャイルド~』でホモ一斉捜査みたいになってたみたいに、無駄な捜査に追われることになるのも全部共産主義のせい・・
トム・ロブ・スミスが50年代を舞台にして共産主義を強調したのも「なるほど」でしたね。

やがてブラコフの執念が実を結び、犯人特定に至る
苦労が報われたことは勿論、逆境に耐え、事件に真摯に取り組んだ彼の誠意が人を動かしたことに感動するんですよね。
頼りなさげでいて、辛抱強く誠実なブラコフが嵌るスティーヴン・レイいいわぁ。




ブラコフを支えることになる上司(ドナルド・サザーランド)と、
精神医学の面から捜査に協力するマックス・フォン・シドーのお二方も最高。
出番は少ないながらブラコフの妻イメルダ・スタントンも地味によかった。

チカチーロに関するwikiを読むと全てが事実のまんまではないようだけど
犯行に及んだ動機などの詳細も丁寧に描かれているので
殺人事件が希薄になってしまったトムハ映画に不満をお持ちの方には、
こちらの鑑賞をお薦めします。

名優そろい踏みでじっくりと事件を追う、見ごたえたっぷりの作品になってました。

みーすけさん、ありがとう!!