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映画ノート

【映画】ジェームス・ブラウン ~最高の魂(ソウル)を持つ男



ジェームス・ブラウン ~最高の魂(ソウル)を持つ男~(2014)アメリカ/イギリス
原題:Get on Up

伝説のソウルミュージシャン、ジェームス・ブラウンの半生を『ヘルプ 心がつなぐストーリー』のテイト・テイラー監督、ザ・ローリング・ストーンズミック・ジャガー製作で映画化

公開時気になりながら、ジェームス・ブラウンというアーティストをよく知らなかったこともあり劇場スルーしてしまったけど、これは大きなスクリーンで臨場感を楽しみたかった。素晴らしい作品でした。

ジェームス・ブラウンを演じるのは『42 世界を変えた男』で大リーグ初の黒人選手を演じたチャドウィック・ボーズマン
精悍なスポーツ選手と本作のソウルミュージシャンと、180度違う役柄をそれぞれ見事に演じていて凄い。ステージでのパフォーマンスからも運動能力の高さを感じさせます。

映画は両親に見捨てられた幼少期を交錯させながら、人種差別のはびこる社会を生き抜いたジェームス・ブラウンの半生を描き出すというもの。
極貧にあっても彼の周りにはゴスペルやソウルがあったことが、ジェームスの苦しさを紛らわせる。自分を信じることを教えてくれたおばの存在や、ボビー・バードとの出会いにより彼は音楽の道を究めていくんですね。
ステージでへとへとになるほどのソウルフルで躍動的なステージパフォーマンスにどっぷりはまれた。聴きながら自然に体がスウィングしますよ。
マイケル・ジャクソンのムーン・ウォークもオリジナルはジェームス・ブラウンだったんですね。
やがてジェームス・ブランは音楽界を席巻する。けれどその成功とは裏腹に、孤高な天才ゆえに周囲との摩擦もあり、次第に彼は信じるべきものから孤立していくんですね。傲慢に変わっていくさまを見るのはファンには辛かったかもしれませんね。
それゆえなのか、あるいはチャドウィックのパフォーマンスにジェームス・ブラウンのソウルを感じられないという意見もあり、アメリカでは賛否が分かれているようです。
監督が『ヘルプ』のテイト・テイラーであり、黒人差別の実態が差し込まれたり、白人社会への反骨精神が描かれることも白人の不人気に繋がったのかも。

個人的にはジェームス・ブラウンをよく知らないのでオリジナルと比べてどうとかはいえませんが、チャドウィックのパフォーマンスには魅了されました。
失意の中、辛うじて取り戻すことになる友情には泣けたし、
何よりも強くあるしかなかった彼の生き様が切なくも感動的だった。

その後の音楽に大きな影響を与えただろうジェームス・ブラウンを知れてよかった。
おばを演じたオクタヴィア・スペンサー、母親役のヴィオラ・デイヴィスもさすがの演技。傑作です。