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映画ノート

ロマンティックなフィルム・ノワール『ローラ殺人事件』


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【作品情報】
ローラ殺人事件(1944)アメリ
原題:Laura
監督:オットー・プレミンジャー
出演:ジーン・ティアニーダナ・アンドリュースヴィンセント・プライスクリフトン・ウェッブ

【感想】
才能ある若きデザイナー、ローラ(ジーン・ティアニー)が顔を撃たれ殺されるという殺人事件が起きた。
捜査を担当したマクファースン刑事(ダナ・アンドリュース)はローラに近い3人の容疑者に事情を聞くが決め手に欠く。
アパートの壁に飾られた美しいローラの肖像画を見つめ思いをめぐらすマクファースン。
どうやら彼は肖像画のローラに心惹かれている様子。
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肖像画に恋する・・で思い出すのが、クリストファー・リーヴ主演の『ある日どこかで』。
マクファースンは、まさか時空を超えたりしないよね などと思っていたら・・

ここからネタバレに入りますので未見の方はご注意ください
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なんと転寝するマクファースンの前に現れたのはローラ!

時空ではなく三途の川を超えて???

なわけもなく、ローラは生きていたのでした!!!



「顔のない死体」ということで想像はつくと思うのだけど、殺されたのはローラではなかったという作品でした。容疑者は最初から3人に絞られてますが、それぞれ怪しいところがあって、簡単には犯人が割れない。
そのためローラが容疑者と接触する場面では危険を感じ少しハラハラさせられるのだから、見せ方がうまいということですね。

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しかしながら、本作で際立つのはスリルや謎解きのうまさではなく、ローラの美しさそのものでしょう。
燐としていながら、言い寄る男に簡単に心を許してしまいがちなローラ。
その存在こそが罪なのだともいえます。
ローラに心乱され、人生を踏み外してしまった犯人が哀れに思えてしまいましたもの。

個人的にはダナ・アンドリュースが演じたマクファースンのキャラがお気に入り。
「婚約者と結婚するのかしないのか」って、捜査上はどっちでもいいことをあえて確認するマクファースンが
「結婚しないことに決めた」とのローラの答えに一瞬頬を緩ませるシーンがツボでした(笑)
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↑こらこら

ヴィンセント・プライスがバカに若く、でかいのに頼りなさげな男を演じていたのもビックリ
人に歴史あり。古い映画を観る楽しみでもありますね。

おっとー、忘れるところだったけど監督はオットー・プレミンジャーな。
はい、それが言いたかっただけです(笑)