しまんちゅシネマ

映画ノート

【映画】気狂いピエロ

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22日はゴダールのミューズとして知られるアンナ・カリーナの75回目のBirthdayでした。
今日はお誕生日企画で、若きアンナがまぶしいゴダール作品を。

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【作品情報】
気狂いピエロ(1965)フランス/イタリア
原題:Pierrot Le Fou
監督:ジャン=リュック・ゴダール
脚本:ジャン=リュック・ゴダール
出演:ジャン=ポール・ベルモンド / アンナ・カリーナ/ グラツィエラ・ガルヴァーニ/ ダーク・サンダース/ ジミー・カルービ/ サミュエル・フラー/ レイモン・ドボス

【感想】
子持ちの男フェルディナン(ジャン=ポール・ベルモンド )のもとにかつての恋人マリアンヌ(アンナ・カリーナ)がベビーシッターにやってくる。
パーティに退屈し一人帰宅したベルモンドは、終電を逃し寝こけてる(おそらくは彼を待っていたであろう)カリーナを送るが2人は関係を持ってしまう。
しかし翌朝マリアンヌの部屋には男の死体が・・
あとで話すからというマリアンヌに手を取られ2人は逃避行へと向かう羽目に・・

ゴダール作品は私には敷居が高い気がして、『勝手にしやがれ』『はなればなれに』(←これは大好き!)の初期の2本しか観てないんです。本作も全くの初鑑賞。

まずは、キッチュな色彩に溢れた自由な作風に驚きますね。
マリアンヌの部屋にすでに死体があったり、逃亡中のマリアンヌがいつも可愛い服に着替えていたり
狐やオウムなど、どこから来たのか分からないような動物まで登場したり、
犯罪ものをベースにしながら突然ミュージカルになってみたり、いきなり観客に向かって話しかけたり。
詩を朗読するような進行も面白くおよそネオレアリズモなどとは間逆の世界観は映画界に風穴を開けただろうと思います。
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でも一つリアルなのはフェルディナンの心理でしょう。
犯罪を重ねながら逃避行を続ける2人ですが、マリアンヌは次第に逃亡生活に飽き、フェルディナンと一緒にいることにも意味を見出せなくなってしまう。
ピエロと呼ばれることに一々反応しつつ、フェルディナンはマリアンヌの愛を模索しながら疲弊していくんですよね。

ゴダール自身この映画が発表されたあとにアンナとの結婚を解消していて
おそらくはフェルディナンに自分の思いを重ねたのでしょう。
マリアンヌと戯れつつも音楽はメローだったりで、ゴダールのアンナへの未練がそこそこに溢れ
とんでもない破滅に向かうラストも切なかった。

難しいかなと思っていたゴダール作品だけど、内に流れるものがピュアに感じたことで
作品にも思いのほか入り込めた気がします。

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アンナは奔放だからこそ魅力的。
作品をそしてアンナを愛し続けるために彼女を手放したであろう監督の
心の叫びみたいなのを感じられる作品でしたね。
映画の中で引用される映画や詩への知識がないので退屈に思うところもあったけど。
雑誌を切り取ったようなお洒落な映像もアーティスティックな魅力に溢れてました。

ベトコンごっこのシーンは顰蹙だったけどね。
アンナのコスプレはピカチューにしか見えなかったし(笑)