【映画】ハスラー
9/26は2008年に83歳で亡くなったポール・ニューマン7回目の命日です。
今日、明日はニューマンの代表作でもある『ハスラー』『ハスラー2』を観て
ニューマンを偲びたいと思います。まずは61年の『ハスラー』から。
【作品情報】
ハスラー(1961)アメリカ
原題:The Hustler
監督:ロバート・ロッセン
脚本:ロバート・ロッセン /シドニー・キャロル
出演:ポール・ニューマン/ ジャッキー・グリーソン/ パイパー・ローリー/ ジョージ・C・スコット/ マーレイ・ハミルトン/ マイロン・マコーミック/ マイケル・コンスタンティン
【感想】
本作でニューマンが演じるのは名うてのハスラー、エディ・フェルソン。
ハスラーというのはビリヤードのプロの賭け師みたいなもので
コンベンションで地方を回り賞金を稼ぎ、時には素人相手に賭けをふっかける。
華やかなプロプレイヤーというより、むしろ裏世界に暗躍する勝負師といったところ。
自信家のエディが15年負け知らずの”ミネソタ・ファッツ”に挑む冒頭から
35時間にも及ぶゲームの世界が展開。
名前のとおり「デブ」なのにキレのある所作でゲームを進めるジャッキー・グリーソンがなかなかカッコいい。
さて、われ等がニューマンはというと、キューを構える姿は美しいし、ビリヤードを知らない私が見てもなんだか上手そうよ。でも調子こいて酒を煽り、気づけばスッカラカン。
腕はあるのに自分をコントロールできない駄目ハスラーぶりが情けないんだわ。
勿論最初から頂点に立ったのでは映画にならないわけで
それから再びファッツに対戦する日が来るわけですが・・・
こういう話で期待するのはエディの成長と再生 でしょ。
でも本作はスポ根的なさわやかなサクセスストーリーになってないところが味噌。
なぜなら映画は裏社会のどす黒さを描く諦念のドラマだから。
エディは自分のふがいなさから恋人サラ(パイパー・ローリー)を失い
サラのために再生をかけゲームに挑むことになります。
序盤と打って変わって真剣なエディのゲーム運びと会場の緊張を映すカットが秀逸。
しかしゲームに勝ってもハスラーの世界では葬られることになるであろうエディの抵抗が虚しいんですよね。
計算しつくされた間の空気と、バート役のジョージ・C・スコットの憎らしさが最高。
『華やかな情事』で見たばかりなのに別人とも思える強欲さがゆるぎない悪役っぷり。
エディが立ち去った後、何事もなかったかのように動き出す人々の姿に
闇の世界にもルールが存在することを思い知らされます。
最後にファットと力を称えあうシーンに、そこには確かに男の世界があることが
せめてもの救いでした。
虚しいからこそクールとも言える、最高に面白い映画でしたね。
サラの物語も深いものがあって触れると長くなりそうなので、いつかまた。