しまんちゅシネマ

映画ノート

【映画】ブラック・スキャンダル


原題:Black Mass
日本公開:2016/1/30

1970年代のサウス・ボストン。FBI捜査官ジョン・コナリー(ジョエル・エドガートン)は、幼馴染のアイルランド系マフィアのボス、ジェイムズ・"ホワイティ"・バルジャー(ジョニー・デップ)に、FBIと協力して共通の敵であるイタリア系マフィアを排除しようと持ちかけ・・


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第一回目はやはりこれまでの覇者 ベネディクト・カンバーバッチ作品を。

と言ってもご存知のように、本作の主役はジョニー・デップ
ジョニーは実在のマフィアのボスにして凶悪犯のジェイムズ・"ホワイティ"・バルャーを演じてまして、カンバーバッチはその弟ビリーを演じてます。
意外な取り合わせですよね。

しかも驚くのは弟はマサチューセッツ上院議員なんですね。
そんなことが可能なのかと思うのだけど、それはホワイティの悪行が世間に知られてなかったから。
マフィアのボスが内通者としてFBIの一捜査官と繋がっていたという怖い話です。

トレーラーにもある
ホワイティがステーキのレシピを訊くシーンは
ホワイティの陰湿にして懐疑的な性格を知ることになる秀逸なシーン。

根負けしてレシピを明かすモリスに
「秘伝じゃなかったのか。
家族の秘密を漏らすお前は、俺も簡単に裏切るんだろうな」
と釘をさすジョニーが怖すぎ。

ジョニーはハゲ頭をオールバックにした衝撃的なルックスで
冷徹なホワイティを、ここ数年で一番の演技で魅せてくれます。


ョニーの冷血さが炸裂しジョニーがレイ・リオッタに見えてくるあたりから
ブルーグレイのカラコンを入れた目に何の感情も宿さないジョニーが恐ろしく
限りなく暴力的でグロい展開に緊張感もマックス。

ただ、面白かったかと聞かれると正直微妙。
捜査官の尋問とフラッシュバックの暴力シーンが繰り返される前半は
なんとなく置いてけぼりをくらい
後ろのおじさんはいびきをかいて寝てました。私も寝たし。

冷血でありながら年老いた母や弟は大事に思っているところとか
意外性のあるキャラなのに、その人間性の掘り下げが浅く
映画として感情に訴えるものがないのは残念。

と言っても世間の評価は高め(IMDb7.6)なので
緊張感のあるクライム映画としては成功してるということでしょうか。

 熱血漢だけど、ホワイティの犯罪をカバーし続ける倫理性を失くしたFBI捜査官にジョエル・エドガートンなど、演技者はみな好演。

カンバーバッチは精悍で実直 いかにもという風貌で議員を演じてます。
兄ちゃんマフィア、弟 議員先生ですよ。実話だから凄い。
でもそれ以上の感想を何も持たせない役だったことも確かで・・。
そもそもはガイ・ピアースが演じるはずだったらしくガイ君の方がうまそう。
あ、特集初回から覇者を褒めてなくて申し訳ない。
あくまでそういう映画だったということです。

ジョニーはオスカーノミネートかという意見もありますが
私にはコスプレのコメディに見えるところもあったな。
トムハとエドガートンで観たかった。

日本公開は来年1月です。