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映画ノート

【映画】死刑台への招待

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死刑台への招待
(1965)イギリス
原題:Return from the Ashes
監督:J・リー・トンプソン
脚本:ジュリアス・J・エプスタイン
出演:マクシミリアン・シェル/ サマンサ・エッガー/ イングリッド・チューリン/ ハーバート・ロム/ ヴラデク・シェイバル

【あらすじ

ポーランドからの亡命者スタンは放射線医師の富豪女性ミシェルと出会い結婚する。
しかし間もなくドイツが侵攻し、ユダヤ人であるミシェルは強制収容所に送られてしまう。
スタンはミシェルの前夫の娘ファビと愛し合うようになっていた。

今日は『スターウォーズ』に行こうと思ったんですが予習(復習か?)が終わらず(笑)

『あの日のように抱きしめて』と原作(『帰らざる肉体』)を同じくする映画があると知って気になった
本作をyoutubeで観てみました。
J・リー・トンプソン監督によるイギリス製作のフィルム・ノワールです。

アウシュビッツから生還したミシェル( イングリッド・チューリン)は、
収容所での過酷な体験からすっかり顔が変わってしまい
同僚の医師チャールズの助けで整形手術を受けます。
ここで元の顔を取り戻すというのは『あの日のように抱きしめて』と違うところですね。

そのミシェルを偶然町で見かけた義理の娘であるファビ(サマンサ・エッガー)が
「ミシェルにそっくりの人がいるから、身代わりに利用しよう」とスタンに持ちかけるのです。
死亡が証明されない限りミシェルの財産は30年間は誰も相続できないことから
ミシェルが生還したと見せかけて遺産をせしめようという企み。

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本人なのに本人になりすまし、書字の練習をするところなどは『あの日の~』と同じですが
違うのはミシェルの正体は早々に明かされるのと愛欲がらみの危険な犯罪ドラマが展開する点。

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多分こちらの方が原作に近いのでしょうね。
スタンを演じるのは名優マクシミリアン・シェル
ポーランドからの亡命者であるスタンは生き抜くために貪欲です。

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ファムファタールであるファビも深くスタンを愛していて、
サスペンスフルな愛憎劇に切実さが加わるのもまた一興でした。
美しいサマンサ・エッガー(『コレクター』)の入浴シーンは一見の価値あり。

それにしても同じ原作でも随分違うものになるものです。
「拳銃」「自殺」などのキーワードを絡めつつもほぼ別物。
戦後のユダヤ人と彼らを取り巻く関係を繊細に描くことで戦争の痛みを切り取った『あの日の~』の
現代的なアプローチにもあらためて面白さを感じた次第。



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