【映画』地獄に一番近い愛 マイケル・ファスベンダー『マクベス』
今年はアカデミー賞の生放送も見られず、受賞式前の特集も十分出来なかったので
これからはちょっと遅いオスカー特集としてアカデミー賞を振り返ろうと思います。
本年、最大の話題はレオナルド・ディカプリオの悲願のオスカーなるか!でしたね。
実際『レヴェナント』を見た時点で受賞を確信するほどレオの演技は素晴らしく、お情けでもなんでもない
実力で勝ち取ったオスカーだったわけですが。
それだけに、二番手につけていたマイケル・ファスベンダーは残念。
でも次の機会はまた直ぐにやってくるでしょう。
今日はそんなファスベンダーの最新作、シェークスピアの戯曲を映画化した『マクベス』を観ました。
やっぱり上手いわ。
マクベス(2015)イギリス/アメリカ/フランス
原題:Macbeth
監督:ジョスティン・カーゼル
原作戯曲:ウィリアム・シェイクスピア
出演:マイケル・ファスベンダー / マリオン・コティヤール /パディ・コンシダイン/ エリザベス・デビッキ/ ショーン・ハリス
日本公開:2016/5/13
【あらすじ】
スコットランドでダンカン王の下、武将としてならすマクベスは、イングランドとの対戦にも勇敢に戦い勝利に貢献した。しかし戦いの帰り4人の魔女に「いずれ王となる」と予言されたマクベスは野望に駆り立てられ・・。
【感想】
シェイクスピア没後400年を記念しての映画化だそうです。
台詞も古い言葉で語られるので私には難しかったんですが
『マクベス』を読んでいたのは助けになりました。
武将であるマクベスが魔女に「いずれ王になる」と予言されたことから野望に火がつき
野心家の妻にも煽られ、王ダンカンを暗殺。
そうして王になるも、マクベスは罪の意識と王位を失うことの不安から次々に人を殺めていく・・
ラストシーンをのぞいて有名なストーリーを忠実に再現したという印象です。
冒頭は、マクベスの子供の葬儀のシーンから始まり、次にイングランドとの戦いが描かれる
辛くも勝利を収めるものの、多くの若い命を失ったことは彼の心に暗い影を落としています。
そんなときに野心家の妻に煽られ穏やかな君主ダンカン王を暗殺してしまったマクベスは
さらに心の平衡を失っていくのです。
ファスベンダー演じるマクベスが痛々しくてねぇ。
欲にほだされた暴君と言ってしまえばそれまでだけど、戦後のトラウマ状態にあったマクベスは
明らかに心を病んでいて、脅迫観念から王位を脅かす存在を排除せずにいられない。
途中ファスベンダーがBB8に見えるシーンがあって笑ったけど(笑)
葛藤から一筋の涙を流すマクベスの瞳が、いつしか虚ろなものとなっていくのが切なかったわぁ。
監督のジョスティン・カーゼル は『アサシン・クリード』の監督にも抜擢されていて
迫力のバトルシーンなんかはちょっとゲーム風でもあるんですが
スモーキーに青みがかった映像、パノラマに映し出されるスコットランドの風景、不穏な音楽と
独特の静寂感と緊張感があって、アートな雰囲気を醸しだしてもいます。
多分自然光や室内の明かりのみを利用したドグマ方式なのかな。
時代背景に合っていたと思うし、幻視に怯えるマクベスの心情にも合っていた。
力のあるものが王座に付く。そんな戦国の時代。
マクベスを鼓舞する妻の欲深さは内助の功でもあったんでしょう。
でもマクベスの暴挙に、次第に自分の罪を悔いるようになり、これまた心を病んでいく
目力と凛とした声で強さを強調したマリオンがマクベス夫人を美しくそして悲しく演じて見事。
マクダフ役のショーン・ハリス、バンクォー役のパディ・コンシダインも凄くよかった。
人物関連図を頭に入れておくほうが分かりやすいかも。
洗っても洗っても落ちない血と全てを焼き尽くす炎の「赤」が印象的
マクベスと夫人の「地獄に一番近い愛」が悲しい作品でした。
これからはちょっと遅いオスカー特集としてアカデミー賞を振り返ろうと思います。
本年、最大の話題はレオナルド・ディカプリオの悲願のオスカーなるか!でしたね。
実際『レヴェナント』を見た時点で受賞を確信するほどレオの演技は素晴らしく、お情けでもなんでもない
実力で勝ち取ったオスカーだったわけですが。
それだけに、二番手につけていたマイケル・ファスベンダーは残念。
でも次の機会はまた直ぐにやってくるでしょう。
今日はそんなファスベンダーの最新作、シェークスピアの戯曲を映画化した『マクベス』を観ました。
やっぱり上手いわ。
マクベス(2015)イギリス/アメリカ/フランス
原題:Macbeth
監督:ジョスティン・カーゼル
原作戯曲:ウィリアム・シェイクスピア
出演:マイケル・ファスベンダー / マリオン・コティヤール /パディ・コンシダイン/ エリザベス・デビッキ/ ショーン・ハリス
日本公開:2016/5/13
【あらすじ】
スコットランドでダンカン王の下、武将としてならすマクベスは、イングランドとの対戦にも勇敢に戦い勝利に貢献した。しかし戦いの帰り4人の魔女に「いずれ王となる」と予言されたマクベスは野望に駆り立てられ・・。
【感想】
シェイクスピア没後400年を記念しての映画化だそうです。
台詞も古い言葉で語られるので私には難しかったんですが
『マクベス』を読んでいたのは助けになりました。
武将であるマクベスが魔女に「いずれ王になる」と予言されたことから野望に火がつき
野心家の妻にも煽られ、王ダンカンを暗殺。
そうして王になるも、マクベスは罪の意識と王位を失うことの不安から次々に人を殺めていく・・
ラストシーンをのぞいて有名なストーリーを忠実に再現したという印象です。
冒頭は、マクベスの子供の葬儀のシーンから始まり、次にイングランドとの戦いが描かれる
辛くも勝利を収めるものの、多くの若い命を失ったことは彼の心に暗い影を落としています。
そんなときに野心家の妻に煽られ穏やかな君主ダンカン王を暗殺してしまったマクベスは
さらに心の平衡を失っていくのです。
ファスベンダー演じるマクベスが痛々しくてねぇ。
欲にほだされた暴君と言ってしまえばそれまでだけど、戦後のトラウマ状態にあったマクベスは
明らかに心を病んでいて、脅迫観念から王位を脅かす存在を排除せずにいられない。
途中ファスベンダーがBB8に見えるシーンがあって笑ったけど(笑)
葛藤から一筋の涙を流すマクベスの瞳が、いつしか虚ろなものとなっていくのが切なかったわぁ。
監督のジョスティン・カーゼル は『アサシン・クリード』の監督にも抜擢されていて
迫力のバトルシーンなんかはちょっとゲーム風でもあるんですが
スモーキーに青みがかった映像、パノラマに映し出されるスコットランドの風景、不穏な音楽と
独特の静寂感と緊張感があって、アートな雰囲気を醸しだしてもいます。
多分自然光や室内の明かりのみを利用したドグマ方式なのかな。
時代背景に合っていたと思うし、幻視に怯えるマクベスの心情にも合っていた。
力のあるものが王座に付く。そんな戦国の時代。
マクベスを鼓舞する妻の欲深さは内助の功でもあったんでしょう。
でもマクベスの暴挙に、次第に自分の罪を悔いるようになり、これまた心を病んでいく
目力と凛とした声で強さを強調したマリオンがマクベス夫人を美しくそして悲しく演じて見事。
マクダフ役のショーン・ハリス、バンクォー役のパディ・コンシダインも凄くよかった。
人物関連図を頭に入れておくほうが分かりやすいかも。
洗っても洗っても落ちない血と全てを焼き尽くす炎の「赤」が印象的
マクベスと夫人の「地獄に一番近い愛」が悲しい作品でした。