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映画ノート

【映画】アントン君追悼『5時から7時の恋人カンケイ』はほろ苦い大人のラブストーリー

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5時から7時の恋人カンケイ(2014)
アメリ
原題:5 to 7
監督・脚本:ヴィクター・レヴィン
出演:アントン・イェルチン/ベレニス・マルロー/オリヴィア・サールビーランバート・ウィルソン /フランク・ランジェラグレン・クローズ 

アントン君追悼ラストは、アントン君には珍しい恋愛もの。

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アントン君が演じるのは24歳、作家の卵ブライン。
通りの向こうに見かけた煙草の似合う大人な女性アリエルに引き寄せられるように接近し、フランス語で話しかける
別れ際「また会う?」と誘ってきたのは彼女の方。
二人は「5時から7時まで」という決まりでデートを重ねる。
しかし彼女は結婚し二人の子供のいる33歳だった。

これはなかなか拾いものでした。

アリエルを演じるのは『スカイフォール』のボンドガール、ベレニス・マルロー。
実は彼女の夫(ランバート・ウィルソン )には愛人がいてアリエルは自分の恋愛も自由だと思っている。
「それでも不倫に変わりはない」と別れを切り出すブライアンだけど、
彼はすでにアリエルを愛し始めていた
二人の恋の行方は という話。

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この映画まず面白いのは、アリエルの家の結婚象です。
愛人にどっぷりの夫を認め、さらに夫は妻のボ-イフレンドとしてブライアンを受け入れ
家族ぐるみでおおらかに付き合おうとする。

いやいやいや・・いくらフランス人一家ったって
そりゃ無理でしょ

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戸惑いながらも真剣にアリエルを愛するアントン君が可愛くてね
お相手はボンドガールで背丈も同じくらいなもので、
どうしても最初は不釣り合いに見えるのだけど
ベレニス・マルローの笑顔が思いのほかキュートで
ドライに思えた夫婦の関係にも実はとっても傷ついていたことが分かってくると
優しいアントン君との新たな幸せを願ってしまったもんね。

『今日、キミに会えたら』以来久々に見た恋愛もののアントン君は
責任感という意味でうんと大人になっていて、それでも繊細さは失わず
誠実でピュアなブライアンがぴったりでした。


ブライアンの両親にフランク・ランジェラグレン・クローズ
アリエルの夫の愛人で、のちにブライアンの小説の編集者となるオリヴィア・サールビー(『ジャッジ・ドレッド』)も魅力的。

映画を引き立てる素敵な音楽や、街角の風景
ベンチに書かれたメッセージプレートなどのアイテムも小じゃれていて
スタイリッシュでいてほろ苦い大人のラブストーリーに仕上がってます。

幸せな結婚だったかなんて、人生に黄昏が近づいて初めてわかるのかもしれない。
黄昏も知らずに逝ってしまったアントン君
もっともっと渋い演技も見せて欲しかったよ。
安らかに。










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