【映画】誰のせいでもない
誰のせいでもない(2015) ドイツ/カナダ/ノルウェー
原題:Every Thing Will be Fine
監督:ヴィム・ヴェンダース
脚本:ビョルン・オラフ・ヨハンセン
出演:ジェームズ・フランコ/シャルロット・ゲンズブール/レイチェル・マクアダムス/マリ=ジョゼ・クローズ
日本公開:2016/11/12
【あらすじ】
売れない作家のトーマスはある日運転中に急ブレーキを踏む。
すんでのところで停止し、そりに乗った子供が無傷であることに胸をなでおろすトーマス。
呆然と言葉も出ない子供を家に送り届けるも、母親のケイト(シャルロット・ゲンズブール)はパニック状態で家を飛び出す。
【感想】
ヴィム・ヴェンダースがジェームズ・フランコを主演に迎えた新作のヒューマンドラマです。
事故の際、トーマス(フランコ)が少年にかけた言葉が原題の「Everything will be Fine」。
実はトーマスの気づかないところで一つの命が失われていたんですが、どうやらそれは「誰のせいでもない」事故として処理された様子。トーマスは恋人サラにも「Every thing will be fine」と報告します。しかしながら事故はトーマスやサラ(レイチェル・マクアダムス)、事故にあった少年一家の運命を変えていくんですね。
お咎めなしとされたとはいえ、事故が心の底の澱となってしまうのは理解できます。
レイチェル・マクアダムス演じるサラとの関係も、ともに事故のトラウマにとらわれた状態でいたわり合うのは難しい。
けれどトーマスは編集者アン(マリ=ジョゼ・クローズ)家族と出会い、癒しを見つけることができたんでしょう。心に余裕ができて初めて同じように傷を負った人の心を包んであげることもできたのだと思う。
法的責任はなくても、被害者家族に対する心的責任を負ったトーマスが、新たに負う自身の家族への責任等、淡々とした中にリアルな現実が盛り込まれてますね。
ゆっくりと時間をかけてトラウマから解放され成長する話でもあり、11年の歳月の重みも感じます。
今回は2Dで見たけれど、奥底を表現するのに用いたとする3Dがどんなものなのか見たかったかも。もちろん2Dでも、枠越しや、ガラスに景色を反射させる手法などを用いた映像が印象的で、雪の景色の美しさは特筆すべきものがありました。
フランコ君はフラットに演じることに徹しているように思いましたが、意図的に演出されたものなのかな。
正直淡々としてスローなので、途中寝たとしても「誰のせいでもない」・・気がする(汗)
終わってみれば原題の「Everything will be Fine」には前向きな希望を感じますね。
邦題とは少しギャップが・・コホンコホン・・