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映画ノート

【映画】怪談

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怪談(1965
日本
英題:Kwaidan
監督:小林正樹
原作:小泉八雲ラフカディオ・ハーン
脚本:水木洋子
出演:三国連太郎 /  岸恵子 / 新珠三千代/ 仲代達矢/ 丹波哲郎/ 中村嘉葎雄/ 志村喬/ 中村翫右衛門/ 杉村春子/ 仲谷昇/ 奈良岡朋子/ 中村鴈治郎 / 渡辺美佐子

【あらすじ
【黒髪】
貧しい武士の男は、妻を捨て金持ちの娘と結婚するが・・

【雪女】
吹雪にあい山小屋に一泊した夜、白い着物姿の女が現れ・・

耳なし芳一の話】
盲目の琵琶法師の芳一は、ある夜、甲冑姿の男に連れられ『平家物語』の壇ノ浦の合戦の下りを奏でるが・・

【茶碗の中】
茶碗に水を汲みと、そこに見知らぬ男の顔が映っていて・・

【感想

小泉八雲の同名原作をもとに『切腹』の小林正樹が4話のオムニバスに仕上げた日本のホラーです。

昔、怪談といえばお盆に『四谷怪談』や『皿屋敷』が放映されて、一人で顔を覆った指の間から観たものでした。怖がりなのに観たがりだったけど、今の方が観る勇気ないかもしれない。日本のホラーが怖くて年々苦手になっていきます。そんなわけで、随分前に録画したまま放置していた本作を特集に乗じてようやく鑑賞しました。

まずキャストが凄いよ。
『黒髪』では主人公の武士に三国廉連太郎、捨てられた妻に新珠三千代、新しい妻に渡辺美佐子
『雪女』の木こりに仲代達也、雪女に岸惠子。仲代は雪女に「ハンサムだから殺さないであげよう」と思わせるほどいい男だわ。村の女に菅井きんさんも出てました。あまり変わらないw
耳なし芳一の話』では芳一に 中村嘉葎雄、住職に 志村喬、甲冑の武士を演じていたのが丹波哲郎なのは気づかなかった。寺男田中邦衛さんまでいたね。
『茶碗の中』でも中村翫右衛門杉村春子奈良岡朋子等そうそうたるメンバーだ。
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ホラーとして怖かったのは、『黒髪』で長い黒髪が布団の上でザワワとうごめくシーン。
雪女の岸惠子の白塗りは今どきのJホラーの大元みたいなものだけど、ベルトコンベアに乗ってるかのように、ススーっと移動するのは妙に不気味だった。

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なんといっても圧巻なのは『耳なし芳一の話』でしょう。
冒頭から、壇ノ浦の戦いを丁寧に描いていて、絵巻物を交えた描写は歴史ものとしても観る価値がある。
有名な話ではあるけれど全身に経文を書き込んだ芳一のビジュアルにも圧倒される。
しかも武士の亡霊が芳一の耳をちぎるシーンが思いのほか執拗なのよね(汗)
多分アニメか本で見たそのシーンは簡単に両手でぶっちーっとちぎっていた印象だったのに、映画では結構時間をかけ、力づくでもぎっていて、もうやめて~と思ってしまった。
芳一を迎える平家の亡霊たちも哀れにして美しく、鬼火の飛び交う墓場で弾き語る琵琶も見事。
アート作品としても格式の高い仕上がり。181分という長い作品ですがこれは観てよかった。

カンヌで審査員特別賞を受賞しています。

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